おかえり.jp トップページ おすすめクラシック ちょっと楽しくクラシック ハイドンの交響曲 シューマンの交響曲 組曲 小品 管理人紹介

モーツァルトを聴く

哀しむモーツァルト

おすすめクラシック楽しくクラシックハイドンの交響曲シューマンの交響曲おすすめのクラシック組曲おすすめのクラシック小品


その7 美しくも哀しい白鳥の歌(交響曲第39番変ホ長調 K.543)

swan

モーツァルトがつくった最後の3曲は、3大交響曲と言われ、彼が到達した究極の交響曲になっています。その最初の曲がこの第39番です。

実は3大交響曲は、誰の依頼でどういうイベントのためにつくられたのか不明なのです。彼の死まではまだ3年ありますが、二度と交響曲に手を染めることはありませんでした。当てはないものの、彼自身の創作意欲にほだされて創りだされた曲なのです。

モーツァルトから下卑たところを除いて、最も優美でエレガントな部分だけを抽出したような、一聴では明るく感じる曲ですが、これはまさに彼の「白鳥の歌」であり、この世に残した彼の精一杯に明るく振舞った音楽であることがわかってくると、何とも言えない美しくも哀しい気分に浸ることになるのです。

4つの楽章から成っています。
 第1楽章は、アダージョの充実した序奏で始まります。主調である変ホ長調の和音が強く鳴らされると、ヴァイオリンがなだれ落ちるように下降してきます。これが和音を変えて繰り返されてゆき高揚していきます。それが急に途切れると、茫洋としたようなフレーズで幻想的になりながらアレグロの3拍子の主部へと入ります。第1テーマは白鳥が水面を静かに漂うような感じです(下譜A)。それが低音部の重々しいフレーズから、序奏部と同様に駆け下りるモチーフ、そして「タッタカタッタカタッタカ」というせき立てるようなリズミカルなモチーフ(下譜B)を経て、流麗な第2テーマが各楽器に巧みに受け渡されながら導かれます(下譜C)。展開部は先ほどのリズミカルなモチーフと第2テーマが中心となり、ちょっと緊張が緩んで再現部に入ります。ほぼ型通りの流れの後ファンファーレ風に賑やかに終止します。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
第39番第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章経過句モチーフ)
第39番第1楽章経過句モチーフ

楽譜C(第1楽章第2テーマ)
第39番第1楽章第2テーマ

第2楽章は、この曲の中での白眉の緩徐楽章。ソナタ形式で、付点リズムをもつ穏やかな第1テーマから始まります(下譜D)。あまり展開しそうもないモチーフですが、この中の付点リズムを使って緊張のある経過を経て、8分音符と16分音符から成るフガート風な第2テーマが木管楽器群で楚々と始まります(下譜E)。短い経過句を経て再現部になり、ほぼ提示部と同じ流れを経て最後まで付点リズムの未練を残しながらも最後は毅然として楽章を閉じます。

楽譜D(第2楽章第1テーマ)
第39番第2楽章第1テーマ

楽譜E(第2楽章第2テーマ)
第39番第2楽章第2テーマ

第3楽章は、メヌエット。3拍子の律動がはっきりわかるような堂々したテーマで始まります。あまり調性の揺らぎは見せずに安定した展開を見せます。トリオはクラリネットのメロディーをフルートが追いかけるようなメロディ。弦の瞑想的なフレーズを経てメロディーが回帰します。
 第4楽章は、喜びを爆発させたような流れるような快速のフィナーレ。テーマのモチーフが徹底的に活用される、いわばベートーヴェン的な楽章。ヴァイオリンが先導した軽やかな第1テーマ(下譜F)が全奏で繰り返されると直ぐさま転調していきます。属調で第1テーマが演奏されるかと思いきやこれが第2テーマ(下譜G)。ハイドンもよく使った類似主題を配置する手法。第1テーマのモチーフを主とする激しい展開部を経て、ごく自然に再現部に入ります。最後は第1テーマのモチーフで唐突な感じで余韻を残して潔く終ります。

楽譜F(第4楽章第1テーマ)
第39番第4楽章第1テーマ

楽譜G(第4楽章第2テーマ)
第39番第4楽章第2テーマ

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

交響曲第39番から第4楽章

3つのCDをご紹介します。名演も多い曲。その中から思い切って選んでみました。

おすすめCDです.ジャケットかタイトルをクリックすると、Amazonの商品詳細説明の画面が開きます.
1.

モーツァルト : 交響曲第38番「プラハ」&第39番
2.

モーツァルト:交響曲第39番
3.

モーツァルト:交響曲第29番&第39番

 1.はアーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管。キビキビとして明るさがある演奏。

 2.はジュリアーニ指揮ベルリン・フィル。協奏交響曲との”変ホ長調”カップリングが面白い趣向。

 3.はカラヤン指揮ベルリン・フィルの役者が揃った演奏。若々しい第29番との絶妙カップリング。