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モーツァルトを聴く

モーツァルトこぼれ話

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その5 待たされるピアニスト、待たされる聴衆

コンサートホール

今回はピアノ協奏曲の第1楽章の構成(形式)の話です。

ピアノに限りませんが、古典派からロマン派の協奏曲の第1楽章は概ね次のような構成になっています。

(1)オーケストラだけによる第1提示部
 (2)ピアノを加えた第2提示部
 (3)展開部   (4)再現部
 (5)カデンツァ (6)コーダ

この(1)の部分では、ピアニストはピアノの前でじっと出番を待ち続け、聴衆もピアニストが最初の音を奏でるのをかたずをのんで待ち続けます。モーツァルトなどは、レストランのメニューを見せるようにさらっとテーマを聴かせて終わります。ところが、ベートーベンなどはピアノ協奏曲第3番ハ短調で、交響曲のように重厚な第1提示部をえんえんと聴かせます(ピアノ登場の前におなか一杯です)。
 ピアノの音が出るまで待つ、なんて禁欲的なこの時間。主賓が遅刻して手持ちぶさたのような微妙な心境。

こういう場合には、ちょっとさわりだけでもピアノを鳴らしてくれると安心ですね。「ちょっと遅れるかも」という電話連絡をする気配りのような。

モーツァルトのピアノ協奏曲第9番変ホ長調「ジュノーム」(K271)は、いきなりオーケストラとピアノの掛け合いから始まります(下譜参照)。

ジュノーム第1楽章冒頭

フランスの女流ピアニスト、ジュノーム嬢に贈られたということですが、この開始部分は彼女の希望だったのでしょうか。効果はてきめん。とても華やかな印象を聴衆に与え、第2提示部からのお楽しみを期待させます。

ベートーベンも第3番で少々反省(!?)したのかどうかは知りませんが、第4番はピアノによる第1テーマから始まります。第1提示部をカットしてしまったわけです。そして、それで踏ん切りがついたのでしょうか、第5番「皇帝」ではピアノのカデンツァから始まるという豪華絢爛なものになりました。こうなるといきなりメインディッシュ登場で満漢全席という感じか(ちょっとやり過ぎかも)。

さらに時代は下って、シューマンやグリーグになると、印象的なピアノによる序奏が登場し、各者各様の創意工夫が面白くなってくるわけです。特にグリーグのなだれ落ちるような開始法は劇的です。

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

ピアノ協奏曲第9番から第1楽章

 

今回は、以上に紹介した曲が収められた3つのCDを紹介します。

おすすめCDです.ジャケットかタイトルをクリックすると、Amazonの商品詳細説明の画面が開きます.
1.
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番
2.
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番&第5番
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番&第5番
3.

グリーグ & シューマン: ピアノ協奏曲(クラシック・マスターズ)

 1.は新鋭女流ピアニスト小菅優のソロと、ローレンス指揮北ドイツ放送交響楽団による、第9番「ジュノーム」と第21番(第2楽章が「短くも 美しく燃え」として有名)とのカップリング。瑞々しいモーツァルト。

 2.はツィンマーマンのピアノとバーンスタイン指揮ウィーンフィルによる、ベートーベンの第4番と第5番のおとくなカップリング。両曲とも充実の内容。

 3.はリヒテルの独奏ピアノ、マタチッチ指揮モンテカルロ国立歌劇場管による、グリーグとシューマンのピアノ協奏曲のカップリング。音がよどみなく流れる演奏です。