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その11 限られた楽器が紡ぎ出す充実の時間(弦楽三重奏の為のディヴェルティメント)

弦楽三重奏

晩年のモーツァルトが、少数編成ながらも深みのある音楽性を追求した意欲作、「弦楽三重奏の為のディヴェルティメント ( ディヴェルティメントK.563 )」のご紹介です。

1788年、彼が32才の時の作品。彼の輝かしい3大交響曲がかかれた年です。生活の面で世話になっていた友人の依頼により作曲されました。
通常、室内楽における弦楽器だけの編成としては弦楽四重奏(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)が最小なのですが、敢えてそこからさらに第2ヴァイオリンを外し、その役割をヴィオラにうまく集約させて響きを確保しているのは、既に音楽的に成熟したモーツァルトのチャレンジ精神によるものでしょう。

曲は6楽章から成っており、全曲で50分近くかかる大曲です。

第1楽章は、4分の4拍子でソナタ形式。ゆったりと分散和音で下降する第1テーマで始まります(下譜A)。第2テーマは8度+6度での並行を伴って装飾音を使った楽しげなものです(下譜B)。展開部では第1テーマの下降音に、低音からゆらゆらと上昇するフレーズが重なって対位法的な展開となります。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
ディヴェルティメント第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章第2テーマ)
ディヴェルティメント第1楽章第2テーマ

第2楽章は、アダージョの緩徐楽章。やはりソナタ形式です。第1テーマ(下譜C)と第2テーマ(下譜D)は共に分散和音の上昇がモチーフとなっており似てはいますが、音域を変えることで変化を与えています。第2テーマの後のオクターブを超える音の跳躍が儚げな印象も与えています。

楽譜C(第2楽章第1テーマ)
ディヴェルティメント第2楽章第1テーマ

楽譜D(第2楽章第2テーマ)
ディヴェルティメント第2楽章第2テーマ

第3楽章は、メヌエット。せかせかとしたテーマによる諧謔的な曲です(下譜E)。中間部では独奏の部分が強調されており、上がっては下りてくるためらいがちなテーマが中心です。

楽譜E(第3楽章メヌエットテーマ)
ディヴェルティメント第3楽章メヌエットテーマ

第4楽章は、アンダンテの変奏曲。主題(下譜F)に4つの変奏が続きますが、「楽器3つだけでこれだけヴァリエーションがあるのか…」と感嘆すること請け合いです。

楽譜F(第4楽章テーマ)
ディヴェルティメント第4楽章テーマ

第5楽章は、再びメヌエット。第3楽章よりも落ち着いてガッチリとした風格があります(下譜G)。中間部は2つあって、「A-B-A-C-A-(コーダ)」という構成になります。第1トリオはドイツ舞曲的であり、第2トリオはヴァイオリンが高音で鳥が囀るかのような陽気さに溢れています。

楽譜G(第5楽章メヌエットテーマ)
ディヴェルティメント第5楽章メヌエットテーマ

第6楽章は、8分の6拍子でアレグロの終曲。ロンド形式です。いきなり機嫌の良いモーツァルトのような楽しげなテーマで始まります(下譜H)。このテーマはいかにも彼らしい、シンプルだけれど印象深いものです。刻むリズムの経過フレーズ(下譜I)に続いて転調してアクセントに特徴のある第2テーマ(下譜J)が現れます。途中リズム的な緊張のある部分もありますが、その度にこのご機嫌なテーマが戻ってきて場を和やかにするという、緊張と弛緩のバランスがとれている不思議な魅力を持っています。最後は経過フレーズのリズムを用いたクライマックスをつくって毅然として曲を閉じます。

楽譜H(第6楽章第1テーマ)
ディヴェルティメント第6楽章第1テーマ

楽譜I(第6楽章経過フレーズ)
ディヴェルティメント第6楽章経過フレーズ

楽譜J(第6楽章第2テーマ)
ディヴェルティメント第6楽章第2テーマ

「ディヴェルティメント(嬉遊曲)」と名乗ってはいますが、より真面目な意図と目的をもってやり遂げられた仕事です。

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

弦楽三重奏の為のディヴェルティメント 第6楽章

3つのCDを紹介します。

おすすめCDです.ジャケットかタイトルをクリックすると、Amazonの商品詳細説明の画面が開きます.
1.

モーツァルト:ディヴェルティメント
2.

モーツァルト:ディヴェルティメント/二重奏曲 K563、K423、K424
3.

モーツァルト:ディヴェルティメント 変ホ長調 K.563 他 (Trio Zimmermann plays Mozart's Divertimento) (SACD Hybrid)

 1.は、ヨーヨー・マ、ギドン・クレーメル、キム・カシュカシアンによる演奏。曲の品位を失わずしかもキビキビとしているのが心地よい。

 2.は、グリュミオー・トリオによる正統派的演奏。これまた珍しい楽器編成のヴァイオリンとヴィオラの二重奏曲も楽しめる。

 3.は、フランク・ペーター・ツィンマーマン (ヴァイオリン), アントワーヌ・タムスティ (ヴィオラ), クリスチャン・ポルテラ (チェロ)による、好感の持てる気品ある演奏。 。