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その7 せせらぎから大河へと至る出世作(交響曲第29番 K.201 (186a))

せせらぎ

人は、ある時期を境に突然見違えるように成長することがあります。

モーツァルトは確かに幼いときから天才と言われましたが、それは”子供としては演奏や作曲がうまい”という程度のものであり、それだけなら”二十歳過ぎたらただの人”になる可能性も大いにあったでしょう。しかし、そうはなりませんでした。

彼が17才から18才になる年にかけて9曲の交響曲を書き上げますが、それまでの室内楽の延長で娯楽音楽的な曲から内容充実な”交響楽”へと大きな脱皮を遂げます。

彼がこれまで吸収してきた音楽が、彼の中で消化され再構成され熟成されて、いよいよモーツァルトの真の音楽が生み出されていくことになるのです。それは、水の雫がせせらぎとなりやがて大河へ成長してくようなものですが、それが音楽上に表れているところがこの曲の興味深いところでしょう。

曲は4つの楽章から成っています。
 第1楽章は、まさに川のせせらぎのような穏やかな第1テーマ(下譜A)が、柔らかな和声に包まれて、次いで弦楽のカノンで登場します。すぐに強奏で確保されますが、なんとも上品で瑞々しい感じ。この雰囲気は端正な第2テーマ(下譜B)やメリハリのある第3テーマ(下譜C)にも受け継がれます。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
第29番第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章第2テーマ)
第29番第1楽章第2テーマ

楽譜C(第1楽章第3テーマ)
第29番第1楽章第3テーマ
 

第2楽章は、アンダンテ。弱音機を付けた弦楽の歩幅が大きい主題で始まる、まさに”典雅”といった感じの曲(下譜D)。オーボエの細かい動き回る旋律もその空気を乱すことはありません。

楽譜D(第2楽章第1テーマ)
第29番第2楽章第1テーマ
 

第3楽章は、付点リズムが面白いメヌエット(下譜E)ですが、合いの手を入れるホルンも愉快。トリオは一転して流暢に流れます。

楽譜E(第3楽章主部テーマ)
第29番第3楽章主部テーマ
 

第4楽章は、打って変わって活発でアグレッシブな8分の6拍子のフィナーレ。高速で駆け上がるような呼びかけと、それに応じて縦横に走り回る第1テーマがなんとも鯔背(いなせ)です(下譜F)。この拍子らしい”狩り”のイメージのある第2テーマとの対比も見事。展開部における、第1テーマを”ちぎっては投げちぎっては投げ”的な徹底的な展開は、モーツァルトがもはや大作曲家に成長したことを勝ち誇っているかのようです。

楽譜F(第4楽章第1テーマ)
第29番第4楽章第1テーマ

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

交響曲第29番から第1楽章

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1.
モーツァルト:交響曲第25番&第29番&第35番
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2.
モーツァルト : 交響曲第25番、第29番&第33番
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3.
モーツァルト:交響曲第29番&第1番
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 1.は、ウィーンフィルを、バーンスタインらしからぬ(!?)抑制の効いた優しさでまとめた演奏です。

 2.は、トン・コープマン指揮のアムステルダム・バロック管弦楽団による演奏。小編成でオリジナルに近い。

 3.は、ウィーンフィルの精鋭による珠玉の演奏。カップリングの妙も相まって期待のアルバムです。