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その4 全能の神の名をもつジュピター交響曲(第41番ハ長調 K.551)

アテネのゼウス神殿

モーツァルトの生涯最後の交響曲であり、まさに交響曲という形式をベートーベン以降に承継するに値する古典派の金字塔である、交響曲第41番ハ長調「ジュピター」のご紹介です。

ご存じのとおり、「ジュピター」とはギリシャ語ではゼウスと呼ばれる「全能の神」です。木星がジュピターの名で呼ばれるのも、3つの輪と63個(!?)の衛星を従える太陽系で最大の惑星であるからでしょう。
 音楽の世界においては、ホルストの組曲「惑星」の中の第4曲「快楽の神」はそのまま木星を表しているのですが、モーツァルトの「ジュピター」はまさに内容の質において「ジュピター」と名付けられているのです。

声楽こそついていないものの、この曲にはモーツァルト以前の音楽のエッセンスが組み込まれ、以後の交響曲の道筋を暗示するような先進性も持っています。
 モーツァルト自身が発展させたメロディと和声による歌唱的なモノフォニー的要素と、バッハやヘンデルから受け継がれた対位法によるポリフォニー的要素を融合し、密度の濃い音楽性を交響曲に与えました。
 ここに至って、近代的な大きなオーケストラ編成に耐えうるアーキテクチャを有する音楽、および演奏者1人1人に高い音楽性を求める独立した鑑賞芸術としての音楽を確立したといっても過言ではないでしょう。

この曲の完成によるモーツァルトの達成感と喜びたるや大きなものがあったに違いありません。しかし、この曲も含まれる最後の3大交響曲の価値が本当に認められるのを目にするのには、彼の人生は短すぎたのです。

第1楽章は堂々たるハ長調の音楽。提示部だけで、男性的な第1主題と対照的で流暢な第2主題、突然の短調和音の強奏、そして民謡的なコデッタ主題までの劇的な構成に感嘆してしまいます。
 第2楽章は単純そうではありながら音の糸を編み上げるような緻密で歌唱風な一編。
 第3楽章は流麗なテーマをもつメヌエットですが形式的には規模が大きくなっています。トリオはメロディよりは和声に特徴をもっています。
 第4楽章は、フーガの技法をソナタ形式に組み込んだ見事なものです。下の楽譜はテーマが一旦提示されてから一段落して登場するフーガ部分。第2ヴァイオリン→第1ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロ→コントラバスの順にテーマが追いかけます。

ジュピター終楽章フーガ

この楽章の中で現れるフーガの中でもコーダが秀逸。ホルンで、『ド・レ・ファ・ミ』が強奏され、第2主題も交えた多重フーガへ発展していくところが、この曲の白眉ではないでしょうか。まさにギリシャの神々が天空を飛び回るような感じ。最後にはモノフォニー的な音楽に戻って終結しますが、これだけの音楽を頭の中で鳴らしていたモーツァルトは、もしもっと長く生きていたらどんな音楽を創ったのでしょうか? 

この交響曲に関するさらに詳しい紹介は、こちらのサイトをご覧ください。

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

交響曲第41番から第1楽章

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1.

モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」&第41番「ジュピター」
2.
モーツァルト : 交響曲第40番&第41番「ジュピター」
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3.
モーツァルト交響曲第40番&第41番
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 1.はバーンスタインがウィーンフィルを振った演奏。音楽への情熱に溢れた明晰なジュピターの演奏は一押し。

 2.はアーノンクール指揮によるコンセルトヘボウ管。荘重さと重厚さが程良くバランスされた丁寧な仕上がり。第40番とのカップリング。

 3.は晩年のベームが指揮するベルリンフィル。まさに本格派好みの重厚さと快速さを兼ね備えた演奏。カップリングで第39番と珍しい「フリーメイソンのための葬送音楽」が聴けます。