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その5 どこが変なのかわかるかな?(ディヴェルティメント「音楽の冗談」 K.522)

音楽の冗談

モーツァルトのなんともいたずら好きで茶目っ気のある性格の一面を、楽曲として残したのが、その名の通り「音楽の冗談」(2つのホルンと弦楽のためのディヴェルティメントヘ長調 K.522)です。

当時巷に出回っていた「自称」作曲家や「にわか」音楽家の連中を皮肉るために、「音楽上の間違いだらけの曲」を作曲した、ということらしいです。
 それにしては年若い頃ならまだしも、三十過ぎのプロ音楽家としてわざわざ作品として残すのはいかがなものか? とも思います。神の子モーツァルトのことですから、何らかの意図が込められているのでしょうか。(管理人としては、「そんなことはないでしょう」に一票)

この曲にどんな「冗談」が込められているか、ということについては、例えば以下のようなものが挙げられます。
 ・4楽章のうち、大事なはずの第1楽章と第4楽章が演奏時間的に短く、全体のバランスがおかしい
 ・楽器編成上、必須ともいえるオーボエがなぜか使われていない
 ・全音階やホルンのトリル、複調などの現代では珍しくはないが当時としては「妙な」技法をつかっている
 ・テーマを展開するとか、転調を流暢に行うとかいったことがなく、音楽的な知性が感じられない  

この後、K.525には有名な「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が控えているわけなのですから、室内楽での楽器の使いこなしはもう「お手のもの」。とはいえ、この曲が、単純な「ゆとり」から生み出されたのか、何らかのストレス解消のために書かれたのかは、本人しかわからないこと。本当に謎々が好きな御仁です。

第1楽章はヘ長調の(たぶん)堂々たる音楽。力強い和音の強打のテーマで始まりますが(下譜A)、その勢いも途中から腰砕けだし、ブツブツと切れる脈絡のないメロディ、伴奏だけの空虚な部分(下譜B)、ズッコケ気分満載の開始楽章であります。

楽譜A(第1楽章第1テーマ)
音楽の冗談第1楽章第1テーマ

楽譜B(第1楽章第2テーマ後の経過句)
音楽の冗談第1楽章第2テーマ後の経過句

第2楽章は同じくヘ長調のメヌエット。通常は第2楽章はゆっくりした楽章なので、第3楽章と順番が入れ替わっているところもミソ。曲自体は、工夫のないテーマから始まって(下譜C)、ただでさえのんべんだらりと長いだけの退屈な構成ですが、途中の音程の変なホルンが全てを台無しにしてしまいます(下譜D)。中間部で懸命に音階を上下するバイオリンが骨折り損のようでクスリとさせます。ここでもなぜか伴奏ばかりの部分(下譜E)。

楽譜C(第2楽章メヌエットテーマ)
音楽の冗談第2楽章メヌエットテーマ

楽譜D(第2楽章ホルンの奇妙なフレーズ)
音楽の冗談第2楽章ホルンの奇妙なフレーズ

楽譜E(第2楽章中間部から)
音楽の冗談第2楽章メヌエットテーマ

第3楽章はハ長調の優雅な楽章(のはず)。出だしのテーマで、いきなり2音目から半音上げる臨時記号(#)がついてしまって主調からいきなり外れてしまいます(下譜F)。大体フォルテ(f)とかスフォルツァンド(sf)とかは穏やかな楽章での指定は作曲当時ではあまりないでしょう。アダージョ・カンタービレ(ゆっくりと歌うように)という速度指定が泣いています。その後で下降するアルペジョや三連符もただただ虚しいだけ。さらにカデンツァで張り切っているバイオリンが勢い余って高音で音をはずしてしまいます(全音階になってしまう。下譜G)。その後の開放弦のピチカートの緊張感の無さは洒落にもなりません。せっかくリラックスするはずの楽章がトホホな出来になってます。

楽譜F(第3楽章冒頭テーマ)
音楽の冗談第3楽章冒頭テーマ

楽譜G(第3楽章カデンツァ終盤)
音楽の冗談第3楽章カデンツァ終盤

第4楽章はヘ長調で華々しく飾るフィナーレ(なんだけど)。軽い感じのテーマで始まります(下譜H)。そのくらいで収めておけばいいのに、フーガのような技をみせようとしたばかりにボロが出てしまいます。なんともスカスカのフガート(下譜I)。結局収拾つかなくなって中途半端に終わってしまう始末。(当時は)苦手なホルンのトリルも入ってしまってもうメチャクチャ。最後は全楽器が違う調で終わってしまうという「ていたらく」(下譜J)。モーツァルトもちょっとやり過ぎ。

楽譜H(第4楽章第1テーマ)
音楽の冗談第4楽章第1テーマ

楽譜I(第4楽章フガート部分)
音楽の冗談第4楽章フガート部分

楽譜J(第4楽章終結部)
音楽の冗談の終結部

曲を試聴されたい方は以下でご確認ください.
(推薦CDとは演者が違う場合もありますがご了承下さい)

「音楽の冗談」から第4楽章

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1.
モーツァルト:音楽の冗談
モーツァルト:音楽の冗談
2.
モーツァルト:ディヴェルティメント第15番
モーツァルト:ディヴェルティメント第15番
3.

リトル・ライト・モーツァルト~音楽の冗談

 1.はフィルハーモニア・クヮルテット・ベルリンらによる演奏。気楽に本曲を楽しみたい方へ。

 2.はウィーンフィルのコンサートマスターだったヘッツェル率いるウィーン室内合奏団の演奏。第15番とのカップリングの名盤です。

 3.はオルフェウス室内管弦楽団によるモーツァルトの軽音楽を集めたもの。気持ちが和みます。