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おすすめのクラシック組曲

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組曲「惑星」(作曲:ホルスト)

惑星

ホルストの組曲「惑星」です。テーマの壮大さは他に追随を許しません。第4曲の木星(ジュピター)はとみに有名で、中間部のメロディーに様々な歌詞をつけて歌われています(日本でも平原綾香さんがヒットさせました)。

作曲した1916年当時は海王星までしか発見されていなかったので、冥王星は入っていません。従って、海王星が「神秘主義者」として太陽系の最果ての位置づけであり、曲が女声合唱のフェイドアウトで終わっていました。地球が入っていないのは・・・いろいろな事情があったのでしょう。

こういった組曲は、一度つくられると後の人は同じ題材ではつくりにくくなってしまいます。かといって、組曲「衛星」というのもショボイような感じですしね・・・
 全体として金管楽器と打楽器の扱いが巧みなのは、ホルストが吹奏楽にも名曲を残しているからです。

この組曲は次の7曲から成っています。
 1.火星~戦争をもたらす者
 2.金星~平和をもたらす者
 3.水星~翼のある使者
 4.木星~快楽をもたらす者
 5.土星~老いをもたらす者
 6.天王星~魔術師
 7.海王星~神秘主義者

第1曲『火星』(Mars, the Bringer of War「戦争をもたらすもの」)は戦争の執拗さや恐ろしさを、珍しい変拍子、5拍子で描いています。「タタタタンタンタタタン」という3連符を用いたリズムが全体を覆います(下譜A)。この曲の影響でしょうか、映画などの戦闘シーンにも5拍子や7拍子が使われることが多いような気がします。低音から唸るような第1テーマ(下譜B)、揺れ動きながら湧き上がる第2テーマ(下譜C)、ちょっと雰囲気が変わった後でユーモラスに現れる第3テーマ(下譜D)で構成されます。最後は絶望的な全奏で終止します。

楽譜A(「火星」より冒頭)
火星冒頭

楽譜B(「火星」より第1テーマ)
火星第1テーマ

楽譜C(「火星」より第2テーマ)
火星第2テーマ

楽譜D(「火星」より第3テーマ)
火星第3テーマ

この曲に続く第2曲『金星』(Venus, the Bringer of Peace「平和をもたらすもの」)は、平和な雰囲気が絶妙の対照を成しています(実際は金星は地表温度400℃の灼熱の星のようですが)。冒頭から上昇するホルンのフレーズと降りてくる木管のフレーズが静かに響きます(下譜E)。少し動きが出てくると独奏ヴァイオリンの柔らかな歌が紡がれていきます(下譜F)。

楽譜E(「金星」より第1テーマ)
金星第1テーマ

楽譜F(「金星」より第2テーマ)
金星第2テーマ

第3曲『水星』(Mercury, the Winged Messenger 「翼のある使者」)は間奏曲的な感じで駆け抜けます。流動的な序奏があった後で、とぼけたような第1テーマが現れます(下譜G)。第2テーマ(下譜H)はまさにタイトルを体現していますが結構執拗に繰り返されます。

楽譜G(「水星」より第1テーマ)
水星第1テーマ

楽譜H(「水星」より第2テーマ)
水星第2テーマ

第4曲『木星』(Jupietr, the Bringer of Jollity「歓びをもたらすもの」)は、中間部が独立に歌詞を付けて歌われることが多い(最近では平原綾香さんの「Jupiter」など)こともあって、この組曲の中でもあまりにも有名です。曲全体でも明るく生気が溢れていて、目覚めの一曲としてもおすすめです。冒頭で細かい動きが湧き上がって広がってゆくと、ホルンのユニゾンで第1テーマが力強く登場します(下譜I)。盛り上がってくると、やはりホルンで勇ましい第2テーマで勢いをつけます(下譜J)。途中それまでの2拍子から3拍子に変わり、第3テーマ(下譜K)で雰囲気を変えた後また2拍子に戻ってから速度を落として有名な中間部に入ります(下譜L)。

楽譜I(「木星」より第1テーマ)
木星第1テーマ

楽譜J(「木星」より第2テーマ)
木星第2テーマ

楽譜K(「木星」より第3テーマ)
木星第3テーマ

楽譜L((「木星」より中間部テーマ)
木星中間部テーマ

第5曲『土星』(Saturn, the Bringer of Old Age 「老いをもたらす者」)。全体的に老成したイメージです。低音での第1テーマには少し疲れもみえるようです(下譜M)。暫くして少し動きのある第2テーマも現れますが、これも少々重たい感じ(下譜N)で葬送さえ想起させます。しかし次第にこれまでの人生を祝福するような明るい曲調になって救われる思いです。

楽譜M(「土星」より第1テーマ)
土星第1テーマ

楽譜N((「土星」より第2テーマ)
土星第2テーマ

第6曲『天王星』(Uranus, the Magician「魔術師」)が文字通り魔術のように大袈裟な身振りの曲で面白い。金管楽器での重々しい序奏の後で、すっとぼけたシンコペーションのリズムにのって軽妙な第1テーマがファゴットで奏されます(下譜O)。途中骨太な第2テーマも出てきますが、それさえ不思議な滑稽さを演出しているようです(下譜P)。

楽譜O(「天王星」より第1テーマ)
天王星第1テーマ

楽譜P((「天王星」より第2テーマ)
天王星第2テーマ

第7曲『海王星』(Neptune, the Mystic 「神秘主義者」)はまさに作曲がされた時代に太陽系の果てを描いたもので、最後は女声コーラスも交えて遠くに消えていくように余韻を残しながら終わります。形式的にも自由なものとなっていますが、便宜的に冒頭の第1テーマ(下譜Q)と、速度を少し上げてから登場する第2テーマ(下譜R)を挙げておきます。

楽譜Q(「海王星」より第1テーマ)
海王星第1テーマ

楽譜R((「海王星」より第2テーマ)
海王星第2テーマ

さて、この組曲がつくられてから後に存在が確認された冥王星を、せっかくだから仲間に入れたいということで、2000年にホルストと同じイギリスの作曲家 コリン・マシューズが、『冥王星』(Pluto, the renewer「復活をもたらすもの」)を新たに作曲しました。うまく他の曲になじんでいるかは評価が分かれていますが、「その心意気や良し」ということで受容してもいいのではないでしょうか。


どんな曲か試聴したい方へ。組曲「惑星」から木星です。(Youtube)


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1.

ホルスト:組曲「惑星」(冥王星付き)
2.

ホルスト:組曲「惑星」

1.は新たに別の作曲家が作曲した「冥王星」を加えた貴重なアルバム。サイモン・ラトル指揮のベルリン・フィル。

2.はカラヤン指揮でベルリン・フィルの演奏。役者が揃って充実の内容。オリジナルの7曲のみで、演奏は文句なしです。





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