第21回参議院通常選挙が終わった。自民との議席は37議席にとどまり。与党の過半数維持という当初の目標は達成されることなく終わった。自民党としては歴史的な大敗であるにもかかわらず、安倍首相は早々に続投を表明した。

 「美しい国」、「戦後レジュームの脱却」、「集団的自衛権の行使」「防衛庁を防衛省へ」、「教育基本法改正」、「国民投票法」など安倍政権が10ヶ月の間に次々とスローガンを掲げた。重要法案も自民党の圧倒的な多数の議席を背景に、大した議論も経ないまま最後は強行採決を重ねて、次々と可決していった。

 安倍首相のスローガンをひと言で表現するなら、「戦後レジュームの脱却」という言葉がすべてを語っているのであろう。世界史を勉強したものであれば、レジュームと聞くと、「アンシャンレジューム」を思い出すであろう。「アンシャンレジューム」は旧体制を表すフランス語であるが、安倍氏は戦後レジューム(戦後体制という意味)=アンシャンレジューム(旧体制)と言いたかったのであろう。

 皮肉にも安倍氏の戦後レジュームというのは、1955年に確立した55年体制そのものではないであろうか?55年体制を維持してきた社会党は村山首相を最後に、分裂を重ね今は社会民主党といして、わずかな議席を維持するのみである。一方の自民党は、小泉政権下で不死鳥のごとく復活した。小泉首相は自民党をぶっ壊すと言った。安倍首相は、参議院選挙の後も首相を続けることで、自民党をぶっ壊しているのはないのであろうか?安倍首相はその意味で「戦後レジューム」を崩壊させようとしている。

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