安倍首相となり公教育の再生を目指すために、教育再生会議でいじめの問題やゆとり教育の見直し、教員免許の更新の問題等、様々な問題が検討されている。

 公教育を再生するための最も簡単な方策は教職員を増やすことである。教職に携わるものがこのようなことを書けば、自己保身と思われる人も少なくないだろうと思われる。ただ、日本では予算にしめる教育分野への割合は先進国の中では最低レベルであるし、教職現場で働いていて、他の人から「教員は楽で良いね」とかいう話は聞かされたことがない。実際、教育現場はまじめに取り組めば取り組むほど、過酷な職場であることは間違いない。

 このコーナーで何度も書いていることであるが、教壇に立って生徒と対峙しない人間はどんなことでも人ごとである。いじめの問題でも、不登校の問題でも自分の子供以外は人ごとなので、大学教授であれ評論家であれ政治家であれジャーナリストであれ、所詮人ごとなので、好きなことを言えるのである。安倍総理でも、大学教授でも1ヶ月でも実際に教壇に立って授業をすれば、本当の問題が分かると思うのであるが.....

 適性のない教職員も確かにいるかもしれない。公務員の地位に甘んじている教員も確かにいるだろう。田中角栄元首相が教員確保法で教職員の給与を上げたことを忘れている人も多いのではないだろうか?教職員の給与が本当に高いと思っている人がそんなにいるとしたら世論調査でもしたら良い。教職員はすべて大卒である。管理職も校長と教頭だけである。要するに一般の教職員は係長も次長も主査も一般的に言われているような階級はなく、管理職手当をもらうこともない。残業手当もなく、休日出勤しても1000円に満たないような手当しかでない。部活動で遅くまで練習しても、土日に練習や試合に行ったとしても、特別な手当が出るわけでもないばかりか、支出の方が増えるばかりである。

 教職員になるためのハードルを高くすること自体はあまり問題ではない。給与も仕事に対して本当に割高であるのであれば見直すのが当然である。今現場で感じているのは、若手が厳しいと言われている採用試験をくぐり抜けて採用されているにもかかわらず、優秀な人材が集まっているようには見えない。むしろ、教職を目指したいと思っている優秀な人材が、教育現場に魅力を感じなくなり、民間に流失しているような気がしてならない。

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