リーマンブラザーズがあっけなく破綻した。その後にAIGグループを政府は救済したが、アメリカ政府の公的救済に一貫性が無く世界同時恐慌の予感さえ感じさせる。9月上旬まではリーマンブラザーズも日本やアメリカ国内の金融機関による救済合併がささやかれていたのだが、信用不安により公的救済が見送られたとたん破綻してしまった。

 元々はアメリカのサブプライムローンが原因であるが、ウオール街の債券を買った世界中の投資家や金融機関に信用不安が起こり、世界を巻き込んだ同時不況が進行しようとしている。

 日本では折しも麻生新政権がスタートしたばかりのこの時期に金融不安が襲った。麻生新首相にとって突然アメリカからやって来た信用不安は予想外であったのか、就任後解散含みで始まった新政府であるが、解散の時期について決めかねているようである。ブッシュ大統領も任期が残りわずかであり、アメリカ議会も選挙間近で、対策が後手に回っている。

 1990年代、日本は目先の景気対策に走ったため、10年以上も過酷なデフレに苦しむこととなった。その後、21世紀に入って戦後最大の景気拡大を迎えるが、豊かになった実感は全くない。アメリカのサブプライムローンは明らかにバブルである。バブル崩壊を招いてしまった以上、その影響を最小限にとどめなければ、信用不安は広がり続け無用な倒産や、信用収縮を招く悪循環となってしまう。

 日本はバブルの教訓から、サブプライムローンの直接の影響はほとんど受けていない。アメリカの緊急機関を救済したり買収したりする金融機関も出始めている。大切なのは目先の景気対策ではなく、外需に大きく依存するばかりではなく、少子高齢化や環境対策まで含めた構造改革が必要である。

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