衆議院選挙が8月末に予定されている。政権交代を党選挙になるかもしれないので、国民では関心が深まっている。

 政権を執る可能性が高いと言われている民主党であるが、その公約のひとつに高速道路の無料化がある。揮発油税の暫定税率の撤廃も公約に掲げている。

 今の1000円で乗り放題という政策でさえ、ユーザーとはとてもありがたいし、景気対策としては有効であると思われる。ただ、選挙対策というか安易なバラマキというか、ただ単純に高速道路を無料化してしまえば、無用な渋滞を招くだけではないだろうか?無料化した後でも、現在の高速道路のようなきちんとした道路の管理運営が出来るのであろうか?

 道路は維持管理費用も膨大にかかるものである。ただ、無料化してもさらに膨大な税金を投入しなければ高速道路の今のような状態に保つことは難しいであろう。そのための税金はどこから捻出するのであろうか?一方で1000円高速の影響で、鉄道やフェリーは軒並み減収または、経営の危機にさらされている。

 揮発油税の暫定税率を下げ、高速道路を無料化すれば、国民はどんどん自動車を使い、フェリー会社や鉄道会社は経営が成り立たなくなる。鉄道やフェリーなどで大量に輸送することで二酸化炭素の排出量を削減しようとする政策とは全く逆の政策である。

 暫定税率の道路特定財源を環境特定財源に切り替える。ハイブリッド車や太陽電池パネルを購入する際の補助金の財源にしたり、フェリー会社に補助金を出して運賃を安くすることで、利用者を増やすことも可能であるかもしれない。このような環境対策に揮発油税が使われることに国民は決して反対しないであろう。

 高速道路を無料化しても暫定税率を廃止しても、車に乗らない人間にはその代わりの税負担だけが残ることになる。都会の高速道路だけを有料化しても、公平さに疑問が残る。今こそ環境対策まで考えた総合的な戦略が必要な時期である。

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