2002年の2月に始まった景気拡大は2007年10月まで続き、69ヶ月間という「いざなぎ景気」や「バブル景気」をしのぐ戦後最長の景気拡大となった。一体この実感無き景気拡大は何であったのであろうか?

 バブル崩壊後、日本は深刻なデフレ状態を克服し企業収益は確かに増え、バブル期を越す収益を上げた企業もある。一方所得はほとんど横ばいか、むしろ減少した家庭がほとんどではないだろうか?企業は収益を労働者に分配することなく、アメリカの不動産バブルに依存した外需依存型の成長モデルであったため、アメリカのバブル崩壊と共に日本も深刻な不況に陥っている。

 庶民は景気拡大を実感することがないまま、100年に1度という不況に直面しようとしている。2008年10-12月期の日本のGDPは年率換算で-12.7%、不況の発信元であるアメリカは-3.8%、ユーロ圏は-5.7%である。不況の発信源であるアメリカよりもヨーロッパ、ヨーロッパよりも日本の方が不況の度合いが深刻になっている。

 リーマンブラザーズが破綻したとき、日本は一番影響が少ないとされてきたが、気が付けば日本は世界で一番深刻な不況の瀬戸際に立たされている。バブル崩壊後、何度も外需依存型ではなく内需主導の経済成長が主張されてきたが、日本政府も日本企業も何のビジョンも示せぬまま、不況に突入しようとしている。今度こそ国民一人ひとりが安心して暮らせる社会を実現させることで、内需主導の経済成長を目指すべきである。

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