普天間基地の問題は迷走を深め、福島大臣の罷免という事態を招き、結局は2006年にアメリカと合意した辺野古沖に滑走路を造るという案に決着した。

 元々アメリカの基地の問題であり、日本だけの意向でグアムやテニアンに基地を移転させられるはずがない。首相が、さも県外への移転の可能性があるかのように振る舞い、結局は県外への負担軽減は一切なく、一国の首相としての無責任な発言のみが一人歩きした形になっている。

 北朝鮮と韓国の緊張感は一触即発の状態にも見えるし、中国での軍事的なプレゼンスも益々拡大している。日本は竹島の問題にも加え、尖閣諸島など様々な国境問題も抱えている。基地問題だけが一人歩きしているが、基地問題と日本の安全保障はセットの問題である。アメリカ軍の抑止力を頼ることなく安全保障を考えるのであれば、根本的に戦略を立て直さなくてはならないだろう。

 日本は戦後65年にわたり、戦争を一度も経験することなく恵まれた生活環境の中で経済成長を続けてきた。その結果、日本は戦争が起こらないのが当たり前の状態であり、安全保障に対するコスト意識もほとんど無くなってしまったように見える。戦後65年、日本はずっと平和な環境で生活を続けることができているが、世界中から戦争や紛争が無くなったことは無い。何でも総論賛成、各論反対ではなく、地域の負担はもちろん、安全保障や国家戦略についてもよく考えてみる重要な時期にさしかかっている。

 元に戻る