安倍政権の時に、教育改革の下、教育の自由化が叫ばれ、鳴り物入りで教員免許の更新制が始まった。今年がその更新元年と言っていい年に当たるのであるが、既に民主党政権下では、同法案の廃止が決定している。

 この教員免許法の更新案にしろ、民主党の教職課程を6年生にし、教職実習を6年にする案も元来実行不可能な政策である。教員免許の改正にに伴う講義や試験については、各大学に任されている状態である。日本全国の教職員の免許更新のために、講座を開くだけのゆとりも大学側は持っていない。実際に教職員が講座を申し込む際にも、教職員の受講しやすい日程は決まっているので、現場に負担をかけないような日程は、すぐに定員が埋まり受講することが困難な状況であった。

 民主党の教職課程6年生についても導入は不可能である。現在の教育現場はただでさえゆとりがない。教育実習を1年間も引き受けられるような学校はほとんど無い。大学側にしても、この少子化の時代に6年生に合わせた講師陣を確保することは難しいであろう。加えて、教育の問題は大学でどれだけ理論を学んでもほとんど役に立たないことである。理論に詳しければ言い教師になれるとは限らない。実際に大学教授や、教育評論家に学級崩壊しているクラスに出向いていって、見本を見せて欲しいものである。

 教育の問題を現場の教師の責任と押しつけてばかりいる間に、着実に教職離れが進んでいる。既に都市圏では教員採用試験の受験者がかなり減少してきている。危機的状況にある都府県もある。教育問題を教員の資質にばかり求めていると、教育の本質を見誤る危険がある。

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