バブル崩壊後、日本は「失われた10年」と呼ばれた。その後、2002年から2007年にかけて、戦後最長の景気拡大を続けたらしいが、全く実感のない景気拡大は終わり、再びデフレの時代に突入しようとしている。

 デフレ克服のために、財政出動が繰り返され日本の財政赤字は1000兆円に迫ろうとしている。そんな国の通貨が値上がりすることも理解出来ないことであるが、デフレが10年で克服出来ずに20年が経過しようとしている。その間政策金利は1%を超さないまま年月が過ぎている。

 日銀は物価の万人として、政府からも独立し、日本の経済界に君臨してきた。最大の目的も物価の安定である。一方で10年以上デフレが続き、実感のない景気拡大が終われば、またデフレに舞い戻ってしまうような経済になってしまったのは日銀の責任はないのであろうか?日銀は独立機関である。逆に言えば、責任を問われない立場になっているのではないだろうか?

 アメリカではFRBが市場に明確なメッセージを出したり、議会証言があったりする。日銀が同じような役割を果たしているだろうか?日本のデフレは日本国内の1200兆円とも言える金融資産が国内に貫流せず、海外に逃げているからではないのか?なぜ貿易黒字を続ける国が、これほどデフレに苦しむのであろうか?

 インフレの影響はすぐに国民の生活を苦しくする。デフレの場合は徐々に徐々に生活が苦しくなってくる。その分、責任を問われなくて済むので、インフレ政策に踏み込めないのではないだろうか?デフレを克服する前にすぐにインフレの心配をするのが日銀なのではないだろうか?その証拠にインフレターゲットの導入を極端に嫌う。

 そろそろインフレターゲットを導入し、通貨を潤沢に供給し、物価上昇率が1%くらいで推移する経済運営に移行しても良いのではないだろうか。

 

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