安倍政権は全ての職種で、派遣社員が導入出来るように法改正しようとしている。それどころか、正社員も解雇できるように、さらにはホワイトカラーの残業ゼロ法案まで画策しているようである。小泉政権の時に、派遣社員の拡充が図られ、世の中は正社員が減り、派遣社員等の不安定な身分で働かなければならない者が増えた。

 日本は長くデフレの時代が続き、アベノミックスで株価が上がったにもかかわらず、庶民には景気が好転していることを実感出来ないでいる。小泉政権の時も、戦後最長の経済拡大があったが、実感出来る程ではなかった。デフレの下での経済拡大は、全く実感が湧かない。

 デフレが続き、景気の回復感が伴わないのは、労働者側に分配が少ないからである。企業はバブル期を超える収益を上げている企業さえある。にもかかわらず、日本がデフレから脱却出来ないのは、労働者に利益の分配が回らず、その結果、庶民の購買力が上がらず、デフレスパイラルに陥っている。労働者も潤うことで、デフレ脱却ができるのである。利益が株主や内部留保に回るだけでは、購買力が上がらず、デフレから抜け出せない。 

 フォードがT型フォードを流れ作業で作るようになり、自動車を劇的に安くすることに成功した。その時にフォードは自分の工場の給料も上げ、フォードの労働者はT型フォードを変えるようになった。フォードは自社の社員が購買力を持つことで自動車の生産性を格段に上げていった。

 お隣韓国では、サムソンを始め財閥企業はウォン安もあり、世界をマーケットにし、日本企業を追い抜き、韓国製品は世界を席巻している感さえある。一方で韓国国内を見ると、大学を卒業しても半分程度しか就職が無く、ウォン安は庶民を苦しめ、韓国企業の繁栄とは裏腹にその利益が韓国の国民の生活を豊かにしているわけではない。

 法人税を下げることも、確かに必要なことであるかもしれない。企業が経済活動をしやすくするための政策も重要である。企業だけを潤わせても、必ずしも国が豊かになるわけではない。その利益が労働者も潤わせることで、経済はデフレから抜け出し、益々成長して行くに違いない。 

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