ニューヨークの株式市場のダウ30種がリーマンショックの壁を超えて、市場最高値を更新した。日本はと言うと、バブル期に付けた日経平均株価には遠く及ばないが、昨年の11月からおよそ50%近く上昇し、リーマンショック以前の水準に戻しつつある。

 一見アベノミックスの成功のようにも見えるが、経済が成長し雇用も回復し、給与まで増えることにならなければ、いくら株価が上がったとしても、生活が安定し、楽になるわけではない。むしろ円安による物価上昇が生活を直撃しようとさえしている。FRBや日銀による金融緩和は重要なことであるが、緩和によってあふれた金は投棄に向かい、それが原油や食料、デリバティブなどあらゆる商品に流れ込み、その結果バブルがはじけたのがリーマンショックであった。

 リーマンショック以降、FRBは超緩和策を取り続け、ヨーロッパもユーロ騒動でユーロが安くなり、日本だけが大した緩和策を取っていなかった。アメリカが大胆な緩和策を取り、日本があまり緩和しなかったことで、円高が進行したのは明白な事実である。

 リーマンショックは日本にも打撃を与えたが、日本の金融機関はバブルの教訓があったので、比較的軽い打撃で済んだ。むしろ円高により、トヨタや日産、ソニーやパナソニックやシャープなどの電器メーカーの方が打撃を受けた。今回は日本もアメリカと協調して緩和策を取っている。バブルの芽がもうあちらこちらに潜んでいるかもしれない。バブルにならないようにデフレを放置するのではなく、適切な緩和の下で手綱を引くことが肝要である。日銀は中央銀行として、その手腕が問われているのである。

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