1979年に共通1次試験が実施され、その後大学入試センター試験と形は変わり、国立大学の1次試験として、私立大学の試験としても共通一次から30年以上の時間が経過しようとしている。

 今度このセンター試験を廃止して、新たな試験を導入しようとしている。長年実施されてきたので、高校は現在の入試を前提にして学校行事や部活動の試合やその他諸々の活動も、現在の入試制度を前提に動いている。いろいろ微調整をしながら、現在に至っている。センター試験を変えてしまえば、また入試制度は混乱するのではないか?

 政府はどうも、センター試験に変わる試験をバカロレア形式にしたいらしい。得点で差をつけるのではなく、一定の得点を取れば合格とし、後は各大学の2次試験でその大学に応じた試験を課すことで、あまりに点数に偏った入試を是正したいと思われる。

 ほとんどの私立大学、多くの国公立の大学でも推薦試験やAO入試を実施している。国公立大学に入学を希望する場合でも推薦試験やAO試験を利用すれば、現在でもセンター試験を受けることなく、大学に合格することが可能である。点数だけでなく、部活動や生徒会活動、地域やクラブチームでの活動、ボランティア活動など、いろいろな活動が評価される。試験科目も、その多くは小論文や面接が主で、筆記試験が科されることはあまりない。AO入試では自分の作品を持っていったり、プレゼンテーションを行うような試験でさえある。

 なぜ、今センター試験を変える必要があるのか?理解に苦しむところである。多種多様な生徒を取りたければ、推薦試験やAO入試を充実させれば良いだけの話である。すなわちAO入試や推薦入試の定員を増やせばよいだけである。現行の制度でも、いろいろな個性を持った生徒を入学させることは可能である。

 大学入試センターも良くわらからない独立行政法人である。50万人も受験者がいて、受験料収入は単純に計算しても膨大な額になるにもかかわらず、その使い道が全く示されていない。私立大学が大学入試センターに点数を請求する場合の手数料はいくらかかっているのであろう。入試制度をいじるのであれば、独立行政法人大学入試センターを真っ先に廃止するべきではないであろうか?

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