年末に安倍総理が突然靖国神社参拝を決行した。総理大臣として悲願だったことを実行に移したのであるが、予想外だったのはアメリカの反発だった。中国や韓国の反発は予想されたことだったが、アメリカからの「失望」という反応は、予想外であったであろう。

 特定秘密保護法案は実質的には強行採決、靖国参拝については与党幹部や、側近の言うことも振り切って参拝したようである。そこまでして靖国の参拝をする価値があったのであろうか?

 確かに、国家間の問題としては、冷え切っている中国や韓国の関係は最悪なので、靖国に参拝しても最悪の状態は変わらないだろう。過去には日本の会社をねらい打ちにした暴動が起きたり、日本車に乗っている人が襲われたりするなど、民間レベルではさらに悪くなる可能性はいくらでもある。そんなリスクを負ってでも、参拝する価値があるのであろうか?

 中国や韓国は日本の歴史観に強く反発しているが、日本は第2次世界大戦中は中国や韓国のみならず、東南アジアやオセアニアに到るまで事実上日本の施政下においていた。韓国は日本に併合されるが、台湾はそれ以前に日本に組み込まれている。それにもかかわらず、東南アジアやオセアニアや台湾からも日本の外交は一定の評価を得ているし、日本の集団的自衛権に賛同する国も沢山ある。

 ただでさえ、中国や韓国が一方的に国際法を無視して、一方的に日本を批判することが国際社会で孤立感を深めつつあったときに、このタイミングで靖国に参拝すれば、中国や韓国の見方が正しかったことを国際的にピーアールするようなものである。ただでさえ尖閣諸島や竹島問題を抱えるだけでなく、北朝鮮が不穏な動きを見せる中、アメリカと共同して問題を解決すべきであったことは明白である。アメリカにさえ愛想を尽かされ、逆に日本だけが孤立感を深める結果になったのではないだろうか?

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