トヨタ自動車が最高益を更新する。バブル期の倍ほどの利益を計上している。他の企業も原油安で特別損失を出した商社や、小売りや外食産業には円安はマイナスに働いているので、利益は思うように伸びていない。

 昭和の終わり頃から、平成に入った頃がバブル全盛時代である。日本の土地の総額はアメリカの国土の総額の2倍になり、株やゴルフの会員権や、世界中の名画を日本が買いあさり、さらに海外の不動産まで買いあさっていた時代である。まさに日本が中心で世界が動いていた時代である。そのバブルが終わるや、日本は20年以上にわたるデフレに苦しむことになる。

 そのバブル期の利益を更新している企業が沢山ある。企業の利益はどこに行っているのであろう。一部は配当として株主に回っているが、内部留保として企業に蓄えられている部分も多いのではないか?

 日本は元々優秀な社員がコツコツと働き、良好な労使関係の下、卓越した技術力を社内に有することで世界をリードしてきた。一部の企業で、あまりに利益のみにこだわる労務管理が行われ、新しい技術に投資するよりも、目先の利益に走ったため、多くの頭脳流出を許してしまうことになったのは記憶に新しい。

 バブル崩壊時は、日本はいろんなことが一度に行われた。金融ビッグバンに始まり、規制緩和、大規模小売店舗法廃止、男女機会均等法案成立、年功序列の見直し、成果主義の導入などあまりに多くのことが一度に導入され、消化不良のまま、バブルの後遺症に苦しみ続けてのではないか?

 20世紀初頭、フォードは自分の社員が買える車を開発しようと、流れ作業を導入し、コストを下げると同時に、会社の利益を還元し社員が車を買える程の収入を社員に分配することで、モータリゼーションは爆発的に発展してきた。史上空前の利益を新しい労務関係を築き、社員に分配することもデフレ脱却の一歩である。特に若い人にお金が回ることで、経済は活性化するはずである。高齢化社会に向けた技術や、世界の先端を行く技術を開発するための投資でも良いし、スマートグリッドや環境分野の投資でも良い。単に利益をためるのではなく、生きた金の使い方をすれば、再びデフレに陥ることなく、輝ける日本の未来を作り出していかなければならない。

 

 元に戻る