おおかたの予想に反して、イギリス国民はEUから離脱することを国民投票で選んだ。通過のポンドは劇的に下落し、世界的な株安が瞬く間に広がり、イギリス発の不況になりそうな気配を感じる。

 イギリスが経済的に圧倒的に不利な状況におかれるにもかかわらず、離脱を選んだことは日本国民からすると理解に苦しむところである。EUから離脱すれば、ロンドンのシティーの地位も低下し、EUとの貿易にも関税がかかったり、人の異動にもビザがいることになる。イギリスにとって経済的にマイナスなのは明らかである。

 一方で大英帝国の残滓を懐かしむ高齢の世代では、EUに支配されているように映るのであろう。経済的な不利よりも、大英帝国の誇りを優先したのであろうか?実際に若ければ若いほど残留派が多く、年齢が高い程離脱派が多い。

 離脱派の」主権を取り戻す」ことにも、どうやら無理があるようだ。EUの拠出金を払わなくてもそんなに多くの福祉政策が望めなかったり、「人の異動を拒否」して、自由貿易が望めるわけもなく、「移民もかなり受けいる必要があるのかもしれない」というような主張も聞かれるようになった。

 恐ろしいのはポピュリストの台頭である。日本の民主党政権もそうであったように、野党の場合は批判ばかりして、財源もないのに夢のような政策を語るだけでよい。トランプ氏のように、候補者の時は何でも言えるが、政権につけば自分の思い通りになるわけではない。

 ギリシアの例を見ても分かるように、選挙の時だけ「教育の無償化」とか「消費税の厳正」あるいは「高速の無料化」など都合のいい言葉狩りを並べて、結局できもしないことを並べて、後で痛い目に遭うのは国民である。目先にとらわれない、真の改革者が求められている。

 元に戻る