Rocket Newspaper
第四号

(2001年7月28日発行)発行:ロケット新聞 出版部WEB課
編集者:Morry 森田 / 林 ヒデオ


ロックバトル顛末記

 去る7月14日、「ロックバトル in 泉州」(通称泉州ロックバトル)の予選が「泉の森ホール」で行われた。林・森田・ユキのレギュラーメンバーに響氏を加えた特別編成のロケット新聞が、泉州地方のロックにカツを入れ新風を吹き込むべく参加した。参加曲はエスニック風で他のバンドに真似出来ない緩急自在の名曲「ハイキングに行こう」である。

 泉州ロックバトルは、ロック(正確にはロックにこだわらずポピュラー音楽)を通じて泉州地方の音楽シーンを活性化させるべく6年前から行われているイベントである。

吉本興業・ソニーミュージックエンタテイメントが協賛している、「泉州地方」のローカルなイメージではなく、比較的ちゃんとしたコンテストである。100組以上の参加グループからテープ審査で選ばれた60組が実演予選を受け、さらに12組に絞られたバンドが本選会に参加するという、ミニポプコンかミニ88ロックデーのようなものである。

 当日朝、ロケット新聞は、本番前の最後の練習をすべく泉南郡K町のMorryのアジトに集結。響氏は、2連のコンガを借りてくる予定だったのだが、仕事の疲労のため借りにいけず、Morry所有のバリ等太鼓1個で演奏を行うことになった。

 順番決定の抽選時刻13:00の少し前に現地入り。林氏がひいたクジは「6番」。そのあと、楽屋でしばらく待機。他のバンドの顔ぶれを見るに、ほとんどのバンドが「若いモン」である。印象的だったのが、某高校のフォークソング部とおぼしきバンドメンバーの女生徒と先生の団体。顧問の先生は30半ば。我々と同じ世代である。しかし、この場所での我々は、その先生の教え子であるバンドメンバーと同格なのである。女生徒ごときに敗北する可能性も結構あるのだ。

予選の番がまわってくるまでしばらく時間があるので食事。帰ってきて、衣装を付けている最中に、裏方進行係のおねえさんが「そろそろ舞台裏に移動してください。」と誘導しに来た。ロック関連のイベントというものは、時間がおして遅れるのが普通であるのに、この手際のよさはなんなのだ?おそるべしロックバトル!

 舞台裏で待機中に、ステージでの演奏が聞こえてくる。正直いって「それほどでもない」というレベルである。さて、およびがかかった。舞台にあがる。今回電気楽器はMorryのベースだけである。よって、ベースとエフェクターの接続に一番時間がかかった。接続が終わってないうちに司会のねえちゃんが「どうぞ」と言った。その後2分くらいたってしまって接続が終了したのでこの状態ではどうもやりにくい。「そいじゃいきます。」としゃあなしにMorryが一言。林氏のギターで厳かにはじまる。なんだかモニターの返りがわるい。ベースの4弦がヘンな音に聞こえる。極力4弦を使用せずに演奏。響氏の太鼓が妙によく聞こえる。そしてユキさんのタンバリンはあまり聞こえない。会場の広さは昔やってたライブハウス「クラブウォーター」と同じくらいなのだが、そこよりもかなりやりにくい。おまけに、3番で一瞬脳みそが白くなってしまって歌詞を忘れてしまった。

 演奏の後に審査員(どういう身分の方なのか、全然知らないのであるが)のコメント。

「曲はおもしろい。しかし、演奏にまとまりがない。演奏が平板である。いったいどのくらい練習したんや。」もちろん、こんなきつい大阪弁ではなかったのだが、要約すればこういうことになる。なかなか痛いところをついている。

若いモンとはちがって、我々には必死で練習する熱意も練習に必要な時間も体力もないのである。しかも、ユキ嬢と響氏は、このロックバトルに応募すると決めた後からパーカッションをはじめたのだ。その上「ハイキングに行こう」という曲自体、テンポが速くなったり遅くなったりが激しい曲である。テクニックは必要ないにしろ、阿吽の呼吸というヤツが非常に必要なのである。そんな曲が「平板」に聞こえたとは残念無念。これが同期物ならそれほどアラが出なかったかもしれない。

 本選会に出ること(つまり当日のナンバー1)になったのは、推定年齢30歳すぎと見られる3人組みのバンドであった。キーボードとギターと歌のトリオである。我々は彼らの演奏を全然聞いていなかったのだが、客席で聞いていたMorryのよめはん曰く「歌のうまさがほかと全然ちがってた」らしい。若いモンのバンドでなかった。若いモンにはまけてへんかってよかったということで、無理に心の平穏を保とうとしている。本当は負けているかもしれないが。

 さて、今回はロケット新聞初の「コンテスト物への参加」であったが、このテのものはライブとは全く違ったものと捉えなくてはならないと我々は認識を新たした。経験からいうと、本来の力は出せていなかった。何故出せていなかったか、それはやはり練習」不足であろう。正直いって「泉州」ということで、油断していた我々である。これはテクニックを磨くための「練習」ではないのだ。テクニックの向上なんぞ、とうの昔に放棄している。それよりも、メンバーのノリを理解し、いついかなる場合でも、たとえその場の空気で盛り上がりすぎて暴走しようとも緊張しすぎても崩れることない演奏をキープする、阿吽の呼吸というヤツをつかむことが大事なのである。

 世間の評判を気にしないロケット新聞であるが、このままでは引き下がれないのである。

(Morry 森田著)


新曲発表

ロケット新聞が「無意味音頭」リリースした。某楽団の曲とかぶりそうな内容ではあるが一切関係がないことをはじめにお断りしておく。

曲の雰囲気はまさに宴会そのものでが、いいかげんな曲にも係わらずレコーディングトラックを20も使う実にゴージャスな構成である。Morry森田の演奏するトロンボーンは良い感じであるが、林ヒデヲは後ろで騒いでいるだけであった。


夏のBGM!

 ふと、夏のドライブ用のBGM集を作ろうと思った。世間では「サ●ン」や「チ●ーブ」が夏の代名詞になっているが、これはご勘弁願いたいものである。桑◆の顔は嫌いだし最近の桑◆は、同じようなメロディーやコード進行をいろんな曲で使いまわししているような気がする。飯▲直※と別れた男の顔もみたくなければ、あの暑苦しい歌声も聞きたくない。個人的趣味からすると、洋モノのパンクやハードロックをもっといれたいところではあるが、私は車が運転できない(運転免許は持っている)ので、運転者を苛立たせないように、比較的無難な選曲をしてみた。皆様も是非ともお試しあれ。

 

ベンチャーズ:夜空の星

 これは加山雄三の曲である。だが彼の歌声はあまり好きでないので、ベンチャーズ演奏のインストを選択。たまらないドライブ感。ハイスピードのレゲエかと思わせる後乗り8ビートは、最近のロックにはない気持ちよさである。バックのオルガンが暑苦しさを増強している。やはり夏にはこの音である。ベンチャーズの音には、エアコンなしの国産ボロ車で、窓を全開というのがよくにあう。

 

小島麻由美:真夏の海

 昭和40年代歌謡曲風のなつかしい音。今どきのアーチストでこの音はすばらしい。イントロからいきなりチェンバロの哀愁を帯びたメロディーで泣かせる。歌詞の内容は海にドライブに行くという、そのものずばりの内容。しかし、その歌詞は、ボートを乗り回したりして「日常」を忘れて楽しむという、無邪気なのに退廃的なかんじである。小島麻由美といえばやたらスキャットが多いのだが、この曲もご多分にもれずスキャットだらけ。おねえちゃんの高音スキャットは気持ちいいのだ。

 

スピッツ:渚

 数年前にポカリスエットのコマーシャルで使われていた曲。いきなり普通の売れてるJ‐POP(キライなのだ、この言葉。新歌謡曲とでも言ったらどうだ?)バンドである。しかしスピッツのアレンジには時々タダモノでない格好いいものがある。この「渚」も、シンセサイザーのミニマル的リフがイギリスの80年代っぽさを醸し出している。こんなタダモノでないアレンジは誰の手によるものかと思えば、元狂気のハードポップ集団マライアのキーボーディスト笹路正徳である、思わず納得。車で聞くと実に気持ちいい。なお、このバンドのベーシストはリッケンバッカーを使っている。大変好感がもてるではないか。

 

オフコース:Yes・No

またまた普通すぎる。しかも夏っぽくない・・・という意見もあるが、「夏がとおりすぎてゆく」などとおっしゃってるからには、ひと夏の恋云々という内容にちがいない。はっきり言ってクサイし、ちょっと暗い。だがこんなもの、真実やメッセージを歌ってるわけがないので気にしない。大体、小田和正なんぞ、今となってはけっこうええかんじのおっさんだが、昔はおっさんくさいにいちゃんだった。そんなおっさんくさいのがこんな歌詞を本気で書くわけがないではないか。きっと、「思い切りクサイのんつくったろ」と思って書いたにちがいない。歌詞はさておき、出だしの麻原ショウコウもどきギタリストが吹くトランペット、それに続くミニムーグとおぼしきポルタメントとディレイが思いっきり効いたシンセサイザーのメロディが泣かせる。小田和正の歌声も涼しげでよい。

 

ショートケーキのサンバ:小島麻由美

 やはり夏にはサンバである。サンバには、暑苦しいのと涼しげなものの2つの種類がある。この曲は後者であろう。時々うらっかえりそうになる歌声には少し山本リンダがはいっているような気がする。個人的には「一口でパクリィ!」っと、歌うところが可愛くてええかんじである。なお、この曲には小島麻由美にしてはめずらしくスキャットがない。

 

ブリーフ アンド トランクス:青のり〜エキスバージョン〜

 平成のあのねのねとでもいえるバンド。しかし残念ながら、あのねのねよりも「小物」である。元々「青のり」という曲があったが、その「青のり」が好評だったため、続編として「青のり」の歌詞を前面的に入れ替えたのがこの「青のり〜エキスバージョン〜」である。青のりという題名とはうらはらに、歌詞のどこにも青のりは出てこない。なんとなく、ボツネタを集めた感は否めないが、アホくささとB級くささはパワーアップしている。水着から乳首がこぼれているというくだりが夏らしいので選択。

 

ベンチャーズ:10番街の殺人

 何故、殺人などというタイトルがついたのか不明。実に明るくノリのよいテケテケサウンドである。ベンチャーズにしては、比較的歪みぎみな音でブリブリとブリリアントに暑苦しさ抜群である。ベンチャーズの曲の中では私の一番のお気に入りである。

 

今日は奇蹟の朝です:森田童子

夏のドライブにもっとも似合わないと思われる森田童子。しかし、その歌詞をよく聞くと、リアルな夏の海、具体的には、暑苦しい入道雲がわきあがるカンカン照りの日、自殺するために来た白浜の三段壁の岩上から見ているような海を連想してしまう。「気持ちのいい朝」という歌詞とうらはらな暗いメロディーがそのような連想をさせるのだろう。オペラチックに盛り上げる女性バックボーカルもこの世の終わりか人間の終わりを彷彿とさせる。しかも、この曲、最後には海から聖母マリアが浮上するという、まるで五島勉の大予言の本のような歌詞なのだ。Oh my God!

 

サンタナ:ジンゴ

 君たちはラテンロックというものを知っているだろうか?ラテン+ロックといえば、松岡直也みたいなサンバ風フュージョンしか想像できないのは不幸である。あのテのものはエネルギーを打ち消しあって無毒化しているのだ。これではいけない。ロックのやかましさとサンバの激しさを足すとラテンロックになる。サンタナの弾くオーバードライブギターの後ろでラテンパーカッションがずんどこずんどこたかたかとことこと実に暑苦しい音楽である。ハードロックを10倍ゴージャスにするハモンドオルガンも効いてるぜ。夏の暑い日に、窓を締め切ったエアコンのない車でこの音楽を聞けば君たちはまちがいなく、トリップしてしまうだろう。しかし、ご安心あれ。君たちは確実に成仏できる。サンタナの持つヤマハSGに彫刻してある仏さんがあの世へのドライブにみちびいてくれるのだ。めでたしめでたし、なむー。

 

 なお、ロケット新聞の某ギタリストは、カーステレオでヒーロー物主題歌をかけまくっている。私のようなマニアにはうれしいことだがカタギの人間を乗せる際には気のきいたBGMを用意したほうがよいのではないか。


プロモーションビデオ「ハイキングに行こう」

「ハイキングに行こう」のプロモーションビデオが発表された。ロケット新聞としては初めてのビデオ作品である。ビデオの撮影はほぼ1日で終わったのだが編集にはかなりの時間を費やされた。

かなり好評で各方面で高い評価を得ている。メンバーは「とにかく見てもらいたい、楽しんでもらいたい」とコメントしている。