蜻蛉蝶々も鳥のうち

イントロ

ちょっとしたきっかけから、HO スケールのペーパクラフトに目覚めてしま い、最近いろいろ作っていたりします。 カラープリンタの性能が相当良くなっていて、またコンビニあたりでも意外と 安くコピーできるようになったのでお手軽な工作には良いんじゃないかとも 思います。

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作り方

右の写真が一応走行する所までできたディーゼルカーなんですが、基本的 には窓を抜かないこと、極力パテによる下地の修正をしない (というかでき ないから) ことが違うくらいで、ペーパールーフの車両の作り方としては ごくごく一般的なものです。

最近だと雑誌に佐藤さんが書かれた記事あたりが参考になるかと思うので、 彼の標準的な作り方と違う所だけを上げておくと

くらいでしょうか?

順番が逆になりましたが、このディーゼルカーの場合はあるイラスト集に 載っていた絵を HO スケール (すなわち 1/87) になるように、カラーコピー して、先に試作したモックアップの寸法から屋根の長さを割出しておいてその 分だけずらして、木工用ボンドを水で倍程度に薄めたものでアイボリーケント に貼っています。

JR 西日本が出しているような本当のペーパールーフのデータ (ここにあります) を元にするのであればそのまま、ケント紙に貼ってしまえば終りですからもっと お気軽なんですが、このディーゼルカーのデータはないんですよねぇ。

床板が真鍮板とは言っても、切り出しには糸鋸なんて使いません。 どうせ直線ですから、いわゆる「カキ」という道具を使って相当深く溝を 付けて折ってしまいます。 さすがに伝動用の穴 (後で出てきますがモータを沈める部分とか) はそう いうわけにも行かないので、ドリルと糸鋸を使いましたが...

床板に真鍮板を使うのは、上が全てペーパだと軽くなり過ぎることが 多いので、少しは重さを稼ごうという魂胆からですね。 この他に伝動車輪の上にはウェイトを積みますが、これの重さも必要最低限 にしたいというのもあります。

伝動装置

このディーゼルカーの場合、台車のホイールベースがスケールにして 21mm くらいしかないので、サブロクの HO の場合一番一般的な Joe Works のパワー トラックが使えません。 ということで何かの細工が必要になってくるわけです。

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ということで、次に簡単な (入手はおそらくこちらの方が簡単でしょう) フクシマの FM ギヤーを使うことにしました。 最初は「実物と一緒でいいや」ということで、1 軸駆動にしてみたのが 右の写真です。

ユニバーサルジョイントは、ギヤに付属のものを使わずにエンドウが 新しく出した小型のものを使っています。 これの問題は、最低でも片方の軸は直径 2mm を仮定している (もともと MP ギヤ用で、それは軸の直径が 2mm だから) のに対して、私が使う場合 モータの軸も含めて直径 1.5mm がほとんどのことです。 ということで、この他にダルマヤの軸径アダプタを使っています。

モータは秋葉原で売っていた富士電機のジャンクのモータ (一個 100 円) で、ブラケットはそれに合わせて真鍮で作っています。

で、できたんで走らせてみて、すぐ気がついたのが「このままだとギヤ ボックスがどこにも固定されていないから、車輪でなくギヤボックスが 回ってしまう :-<」ことです。 普通、作ってる際中に気が付きそうなもんなんですけどねぇ...

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実は写真のものは、それに対する処理が終っています。 ごくごく簡単に、ギヤボックスに二本の真鍮線を接着してボルスターの下を 通すことで、一定以上回転しないようになっているのです。 逆方向の回転も押えないといけないはずなんですが、そっちは車軸で止まる からまあいいかということにしています。 実物ではどうなっているのでしょうね?

もう一つの方法が、右の写真にあるように二軸伝動にしてしまうことで すが、なんか仰々しいですから (部品もたくさん要るし) 今回は上のやり方 で良しということにしました。

そうそう、台車ですが (当然こんな台車売ってないです :-<) これも ペーパクラフトです ;-) つまり、真鍮で作った骨格に厚紙で裏打ちした台車のイラストが貼ってある のでした。 少し興に載ればバネ回りだけでも立体化してやろうかと思っていますが、 横から見てる分にはそんなに目立たない (と私が思っていれば十分 ;->) です。

その上のボルスターもエンドウの MP ギヤのパーツです。 普通だと洋服に使うスナップで仕上げるところですが、ちょうど手元に あったので、今回はこれで行ってみることにしました。

集電は特に凝ることもなく、片側 2 輪の集電 (というのも、パワー トラックが普及した今となってはあまり一般的ではないのかな?) です から、レールがきちんと整備されていないと集電不良になるかもしれま せん。

速度を測定する

6/6 に運転会に招待いただいたので IMON へ行って、エンドレスで 速度を測定することにしました。 3 番線 (全長約 17m) を使用して 12V で一周 67 秒だったので、17m*87.1 = 1.48 skm, から時速は 79.6skm/h となります。 ということからして、このモータでは 1:14 の減速比では少し大きすぎる ということになるでしょう。 もしもトルクなどが一緒であれば、1:8.5 では 131skm/h となりますから、 こちらの方が適当なのかもしれません。 ちなみに、skm という単位はスケール換算のキロメータで「スキロメータ」 と読みます。もともとはアメリカで発明された用語なので「スマイル (smile)」 の方が有名ですが...

もう少し計算を続けると、車輪の直径が 9.8mm なので、円周に直して 30.8mm、これから車輪が毎分 494 回転となり、減速比からモータは 6920 rpm ということになります。 どちらかと言えば低速回転のモータだったのか、トルクが小さいモータに 負荷を掛けた結果回転が下がったのかのどちらかでしょう。 キドマイティのように 12000 rpm くらいになるものであれば 1:14 の減速比 で悪くないといえます。

速度とは関係ないのですが、勾配について書いておきます。 この車両は自宅のレイアウト (勾配はない、最小半径は R350 と驚異的に 小さい。それと Point to Point なので、本線車両のテストには全く使え ない) ですら、すべりが多く (1 軸駆動のため) IMON の 2.5% 勾配では 相当きついのではないかと予想していました。 しかしながら、実際に試してみるとすべりながらではありますが一応走行 には問題はありませんでした。 実物でも、勾配区間では 1 個エンジン車はほとんど使わなかったことを 考えると、こんなもんでよしとしますか... そういえば、駆動側が前の時と後ろの時で走りがえらく違うのですよね。 当然、後ろの時の方が順調なのです。

この先は

もちろん、この後床下機器を作って、スカートや連結器回りを仕上げて、 屋根にはクーラとベンチレータを付ける必要がありますが、その辺の「手の 抜き方」をしばらく考えてみることにしましょう。

タイトルが気になる人がもしいるといけないので、書いとくと 「輜重輸卒が兵隊ならば、蜻蛉蝶々も鳥のうち」というザレ歌が元ネタ です。 こんなの歌ってりゃ、戦争にも敗けますって...

びるおぶまてりある

フクシマ 12mm F-1 ギヤ (No.4507) 1 1,800円
フクシマ 12mm 9.8mm スポーク車輪 (No.4510) 1/2 750円
乗工社 9.8mm プレート車輪 1 600円
エンドウ ユニバーサルジョイント タイプII (No.6505) 1/2 500円
だるまや 段違いソケット 2.0-1.5 1/2 300円
エンドウ 付随代車マクラバリ (No.5922) 1 250円
2mmx5 ナベビス 2
1.4mmx5 ナベビス 6
電線 20cm
ヒノキ棒 3x3 1m
BS板 t0.8
アイボリーケント #300

参考文献

鉄道図鑑 江口 明男 イカロス出版 これからイラストをコピー、いわゆる「私的使用」。
[車輌の視点]鹿島鉄道 KR500形 前里 孝 とれいん 1989/8 pp.54‾57 JRW キハ 120 と同一メーカー、床回り写真などが参考になる。
[車輌の視点]JRS 2000系気動車 とれいん 1989/6 pp.26‾34 おそらく同一のクーラーの図面がある。
[Mini Mail]JRW キハ120 とれいん 1992/5 pp.138‾139 実物写真

最後に更新したのは 1998/6/10 12:15 (JST) です。