Backman Spectrum の客車に KD カプラーを付ける


Backman Spectrum の客車というのは、Pennsylvania 鉄道の P70 などの プロトタイプをもとにしたもので、値段 (アメリカだと $20 以下) を もとに考えるとなかなかお得な完成品です。

ただし、ちょっと考えないと KD カプラーが付かないのでそのへんのこと をまとめてみました。

Photo 右の写真が、改造の対象になる客車のカプラーの部分を下から見た所で す。 この写真からでは判りにくいのですが、台車が回るのに連動してカプラー ポケットも回るようになっています。 「こんな機能はいらん」とおっしゃる方は、スパッとこの部分を切り落 として適当な高さに KD カプラーを付ければ悩むことはなくなります。

こういう機構でも、小さな曲線を曲がる時には役に立つかなあなどと 思う人は、もう少し先まで読んでもらいましょう。 いちおうここに書いた通りやれば、このポケットを生かしたままで KD カプラーが使えるようになりますから。

この写真で真中に見えるネジをはずすと、次の写真にあるようにホーン フックカプラーが見えます。

Photo 左の写真がカプラー回りの拡大写真です。 あまり価値ないかなあ???

ホーンフックカプラーというのは、良く NMRA 型カプラーと言われるん ですが、NMRA でこのカプラーを標準化しようとした人 (結局投票で 通らなかったんですが) はそう言われることを非常に嫌いますから、 ここではアメリカで一般的に使われるホーンフックカプラーという言い 方で統一します。

この写真を見れば判るように、四角いカプラーボックス (アメリカ式 ならドラフトギヤ) の中にバネまで一体のカプラーが入るという構造 になっています。 最近の磁気操作型のカプラー (インターマウンテンのものなど) は、 同じようにカプラーとバネが一体化していて、それで問題なく使える わけですが、昔の設計であるホーンフックカプラーではバネが厚くて あまりに堅く脱線の原因になることが多いのです。

Photo ちょっと見えにくいですが、前の写真でカプラーポケットの前に出っぱり が二つあるのが判るでしょうか? おそらく、この出っぱりによってカプラーのバネを強くしているのだと思 います。

これは、KD カプラー (ここでは標準的な 5 番を使うことを想定して います) のバネを入れる時に支障があるので、これを削りとると右側 の写真のようになります。

カプラーポケットの材質は軟らかいプラスティックなので、この削り とりはカッターナイフでそぐようにすれば十分でしょう。 けずり取るのはカプラーポケットの横の壁が平になるところまでです。

Photo このように KD カプラーの 5 番に付いているバネ (といっても燐青 銅の板ですが) を納め、その上にカプラー本体を置きます。

幸いにして、アメリカではカプラーポケットは標準化されている (わ りには、他の国からの輸入品などで苦労することも多いんですが) の で、上に上げた加工をすればきっちりと KD が収まるようになるので す。

この説明から判るとは思いますが、もともと KD の 5 番に付いている カプラーポケットは使いません。 つまり、こうした加工ばっかしやってるとどんどんこのカプラーポケット が余ってしまうんですよねぇ... 最近では、こうした問題を避けるために最初からカプラーポケットなし のものも売っています。

Photo 前の写真で見せたカプラーの装着の具合を同じ Backman Spectrum の 客車ですが、違う鉄道 (Road Name) のもので比較したものです。 左が Pennsylvania 右が NYC のものです。

この写真からでは全くわからないでしょうが、実は台車が違うんですよね...

この後は、カプラーポケットの蓋をもと通りねじで締めて終りです。

Photo 装着の終った客車を横から見たものです。

良く見ると判ると思いますが、左側の客車のカプラーポケットは右の ものに比べて低くなっています。 実は、前の写真の説明に書いたように NYC の客車についている台車 はもともとの Pennsylvania 鉄道のものとわざわざ変えてあり (ここ までは偉い!) 床の高さが設計時より低くなっているようなのです。

本来は、台車と床の間にカイモノでもして高くするべきなんでしょうが、 ここでは安直に「KD の 5 番と同じ腕の長さで、取付位置だけが低い」 という KD の 27 番を使ってみました。 KD の 20 番代はこのように、取付位置が違うカプラーがあるので一揃い 持っておくと便利です。 KD の HO 用の全カプラーが入った 13 番というのもありますから、もし 機会があればこれを買っておくとちょっとした実験に良いでしょう。


最後に更新したのは 1997/2/20 12:30 (JST) です。