介護保険下では、従来の医療・福祉サービス提供体制の整理統合とともに、新規の制度や事業が生まれる可能性がある。そんな時代の流れを読み取り、先手を打って行動している医療機関がある。
昨年11月、特別医療法人の認可を受けた董仙会(石川県七尾市)は同年9月、医療法人董仙会と社会福祉法人徳充会の機能を「けいじゅヘルスケアシステム」として統合した。
董仙会は、恵寿総合病院ほか、診療所、老人保健施設、在宅介護支援センター、もみの木苑(デイサービス、訪問入浴、配食サービス)などのグループを形成。徳充会は、身体障害者総合福祉施設、特別養護老人ホーム、ケアハウスなどを運営している。両法人をあわせると、医療・福祉・在宅から施設まで整えた複合的ヘルスケア体制が築かれている。
董仙会理事長の神野正博氏は、「特別医療法人の取得とともに、医療・福祉両面にわたる事業展開をにらんだ名称です。あくまでも特別医療法人と社会福祉法人を総称したものであり、実態として新たな組織、会社が存在するわけではありません。介護保険下では、利用者の方にわかりやすい仕組みが必要であること、また両法人の職員間の交流も図らなければ行けないことから総称としました。今後“医療社会福祉法人”ができるならば、そこに移行していきたい」と説明する。
そのため、介護保険に関する総合窓口を恵寿総合病院内に設置し、各施設間や各サービス事業間を調整。54名のケアマネジャーが相談等に対応する。窓口を一本化することで。医療・福祉の連携をスムーズに図る考えだ。また、情報の共有化を目的に、医療・福祉関連の全施設をコンピュータによりオンライン化した。
「私どものグループを選んでいただいた方々に対する徹底したフォロー体制を作るつもりです。医療と介護を統合した情報システムがまもなく完成します。このシステムにより利用者のニーズをつかむことで、特別医療法人としての物販につなげるCRM(Customer Relationship Management)体制を構築したい」
施設・在宅サービスの充実はもちろん、IT(情報技術)の導入など、利用者の要望に応える董仙会のフットワークは軽そうだ