日経ヘルスケア1997年10月号医療法改正 月刊「日経ヘルスケア」1997年10月号

医療法改正:地域支援病院が不人気な理由


記事

日経ヘルスケア96-11

大病院の“外来制限”で開業医には恩恵

今週にも予定される第3次医療法の目玉、地域医療支援病院に対して民間病院の間で不満の声が根強い。支援病院が主に公立病院を対象としているから、民間病院経営者にはこの制度が高次医療からの民間の締め出しと映るようだ。また仮に厳しい用件をクリアして支援病院になったとしても、病院の大きな収益源である外来が事実上制限される懸念もある。一方、日本医師会は支援病院が効率的な医療提供につながると支持する。結局のところ、支援病院制度で確実に恩恵を受けるのは診療所開業医だけかもしれない。

(見出し)

支援病院の四つの役割

支援病院は中小医療施設を後方から支える施設であり、原則として紹介外来制となる。
病医院に対する高度な医療機器の設備の開放と、オープンベッドの提供
24時間体制の救急医療の提供
地域の医療従事者に対する研修

医療計画で整備目標を明記

公私の“すみ分け”が狙いか

「9割9部まで公が対象」

特別医療法人化がネック

“外来制限”への懸念

既に税法上の特定医療法人になっている病院では、特別医療法人化に関しては何の問題もないが、それでも、もろ手を挙げて賛成というわけではない。
董仙会・恵寿総合病院(神野正博院長、石川県七尾市、454床)も開業医に対する高度医療機器の開放などを積極的に行ない、救急医療の実践面も申し分ない総合病院だ。69年に特定医療法人化を果たしており、支援病院のほとんどの条件がそろっている。
しかし、院長の神野氏は支援病院に手を挙げるか否か決めかねている。同氏は、支援病院になることで、外来が自由にできなくなるだろうことに対して何より懸念を示す。
同病院は現在1日1000人前後の外来があり、紹介率は3%程度と低い。「紹介率を高めたいと思っているが、患者が選んで来てくれるのだから仕方ない。かかりつけ医機能と支援病院機能をきれいに色分けするという考え方は、特に地方では実態にそぐわない」と神野氏は語る。
病院の中心的な役割は入院医療だといっても、現行の診療報酬体系では外来も無視できない。利益率は入院ほど高くないが、「もし外来が半分になればやはり赤字になる」(神野氏)のが普通だ。結局、現在の議論を見る限り「名より実を取る」(神野氏)可能性が高いという。
皮肉なことに、支援病院的な性格を持つ有力病院ほど、外来患者も多い傾向がある。支援病院候補にとって、“外来制限”は特別医療法人以上に大きな難題になるかもしれない。

「頭越し紹介」で中小病院は危機

診療所開業医にはメリット

紹介率は50%以上か


ここでは、見出しと、当院記事のみを掲載しました。医療法改正の諸問題を系統だって論説した必読の記事です。本誌にて是非確認ください。

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