恵寿総合病院では、医薬品卸の一本化と在庫管理システムの導入で、在庫の削減に成功した。95年10月から取り組みを始めた。
既に、医療材料に関しては、94年12月からSPD(Supply Processing and Distribution)と呼ぶ方法を導入、購入・在庫管理を一社に外注することによって、効率化を図った。95年5月からは、臨床検査も1業者に絞って外注化。「“モノ”が関与する部門の合理化を進めると、当然、医薬品に着手することになる」と神野氏は語る。
「SPDの考え方を応用した医薬品管理システムを、卸と共同開発したかった。主な取り引き卸は8社があったが、1社に絞ることが必要だった」(神野氏)。システム開発の提案と同時に、支払サイトを6ヵ月から3ヵ月に短縮することも約束した。
約1200の在庫品目の絞り込みは行わない方針だったため、一本化した卸がメーカーと新規に取り引きを行う必要などが生じた。卸がメーカーとの仕入れ交渉に難航した場合は、神野氏が直接、メーカーと話し合いもした。こうした苦労を重ねて、実施に至った。卸の一本化で発注業務は激減した。
バーコードの活用と医薬品の小包装化を特徴とする在庫管理システムは、以下のようなメリットを発揮している。
卸から納品された医薬品は、例えば、1包装1000錠を100錠10包装にするなど小分けした後に、個々にバーコードを添付する。薬品倉庫の入り口と出口にパソコンを設置し、入庫、出庫時にバーコードを読み取らせる。
小包装化で、薬品倉庫から各病棟への少量配送が可能になり、病棟在庫の大幅な削減につながった。
購入伝票は薬局倉庫への納品時に切られるが、卸への支払いはバーコード読み取り機を通過させた時点で発生する。使用しなかった在庫に関しては、期限切れになる前に、返品伝票で処理する。期限切れが生じなくなり、私蔵在庫をなくせる。
このような新システムの導入で、病院全体で見た在庫量は約3分の1にまで減少した。出庫時には、使用場所も入力する。どの部署で利用したかすべて把握できるため、薬剤の保険請求漏れを医事課でチェックできるというメリットもある。
来年4月には、オーダリングシステムを構築する予定だ。その結果、在庫管理システムを請求事務と連動させることも可能になる。