当院における実践例
前述のようなMissionと問題点の抽出から、当院では次のような方針のもとで業務の改善を行い、平成7年5月に一応の完成をみた(図)。
- 病院における検査室のMissionから、細菌・病理検査部門は内部で行う。
- 臨床生化学的検査は1時間以内に結果の出る項目(結果が必要な項目)は、機器を増強(生化学自動分析器増設、フローサイトメトリーによる自動血球・尿沈査分析器増強など)して院内検査室で徹底的に行う。1時間を超える検査は例外なく全てを外注する。
- 検査室内にサーバーを設置し、検査室内の分析機器はすべてオンラインとする。さらに、院内の各科外来、病棟、医局に検査結果参照を目的とする端末を設置する。
- 検査依頼はOMR(Optical Mark Reader)伝票とし(平成9年からはオーダリングシステムにより入力)、検体にはバーコードラベルを貼付し、転記作業の逓減と機械化を図る。
- 一社とした外注会社からの検査結果は電話回線を通じて電送され、院内の検査サーバー内に、院内検査と同じ時系列に自動的に取り込ませる。
- 検体検査の省力化とともに、時間軸で余剰となった検査技師は可能な限り生理機能検査に就く。
これらにより、外注一社化によるコスト削減効果とともに、生理機能検査(特に、超音波検査)の大幅な増強が可能となった。また、医師や看護職員側ではコンピュータ端末画面で、それをどこで検査したかを気にすることなく、同じ時系列上で結果の参照を行うことができるようになった。さらに、この検査部門に関する院内LAN(Local Area Network)の構築が、その後のすべての業務に対応するオーダリングシステムを導入する際の、職員のコンピュータアレルギーを軽減する効果が大きかったものと思われた。
その後、更なる効率化を目指し、平成9年4月より、前述のような院内の仕組みを壊すことなく、生化学検査室を全面的に外注会社に移管した。これにより検査機器の更新・メインテナンス、試薬および採血管などの消耗品は外注会社の管理となった。ブランチ方式と異なり、検査料の一定割合を検査会社へ支払った上で、当院による生化学検査に伴う人員派遣と場所の提供の対価を検査会社より得るという新しいシステムとなった。