日経流通新聞2001年8月23日朝刊1面

患者満足競え

病院経営にマーケティング



(記事)

 「態度が横暴」など、とかく評判がよくない病院で顧客満足度(CS)向上に取り組む動きが出てきた。接客態度の向上などのため職員全員でお互いをチェックしたり、ワン・トォ・ワン・マーケティングの概念を導入し、患者一人一人にもっともふさわしい治療を施したり・・・・・・。診療報酬の抑制などで病院の競争が激しくなる一方、依然、規制も多い病院にとって、顧客、すなわち患者の満足度をいかに高めるかが究極のマーケティングだ。
(浅山章)

(鶴巻温泉病院のサービス開発室の例:略)

 「CSを超えCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント=顧客情報管理)を構築する」と力が入るのは、能登半島の中央、人口5万人の石川県七尾市にある恵寿総合病院。CRMは顧客一人一人の特性に応じたサービスを提供するワン・トォ・ワン・マーケティングだ。具体的には、周辺にある系列の診療所や介護施設など7ヵ所と病院をオンラインで結び、患者情報をデータベース化して一元管理できるようにした。

 さらに昨年開設した、コールセンターでは、患者の医療・介護に関する相談、病院や治療に対する不満・苦情や診療の予約・変更なども一元管理する。在宅心電図検診サービスでは、異常を感じたときの携帯用心電図計の記録をセンターにFAXすれば、専門医師が診断してくれる。民間企業でいうカスタマーセンターのような存在だ。

 同病院はクレジットカードによる支払いにもいち早く応じたほか、ホテルのようなロビーや待合室、温泉つき病棟、病院内外から自由利用できるコンビニエンスストア「ローソン」も開設した。できるだけ普段の生活を続けられるように、という配慮からだ。

(後略)


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