Q:はじめまして。早速ですが、相談にお答えいただければ幸いです。
私の父が「肝外胆管癌」と診断されました。主治医によりますと、門脈まで浸潤しており、手術不能とのことです。しかし、先生の論文を拝見したところ、門脈合併切除等の手段があり、積極的に切除を行うべきとのことです。先生の論文中の「胆道内瘻術」とは、どのようなことですか。
ご多忙のところ、恐縮ではございますが、返事をいただければ幸いです。
A: 肝外胆管癌では、高齢者とか、手術のリスクが高い方では、放射線治療・抗ガン剤の動脈内注入療法、そして胆道内瘻術(胆管の狭くなっているところを広げる「ステント」という金属のつっかい棒を入れる手技です)を行います。しかし、大部分の方は、門脈に浸潤があっても癌部と一緒に切除し、門脈をもう一度くっつけなおします(「門脈再建術」といいます)。現時点では手術ができた患者さんの方が、手術をせずに治療した患者さんよりも予後が改善する結果が得られています。喘息があっても、麻酔科がしっかりしていれば、特に問題はないと思います。
門脈合併切除の経験が少ない施設では、門脈浸潤が見られたら手術不能とされるのは仕方のないことと思います。もし、全身的に見て手術できそうな体力が残っておられるようでしたら、是非主治医の先生ともう一度相談し、門脈合併切除などの手術が可能な施設があれば紹介してもらってみて下さい。その手術ができる技術を持つ先生がやはり手術は困難と判断されたら、次は我々のような非手術的治療法を持つ人間の出番となります。
胆管の病気を専門にする人間は、いろいろ治療法を持っていますので、外科だけがずば抜けた施設ではなく、その他に手術をしなかった患者さんをサポートする人間が横のつながりでチームを組んでいる施設で治療を受けることをお勧めします。
近くにどんな施設があるのかがわかりませんが、もう一度主治医の先生と、お父様とざっくばらんにお話ししてみて下さい。お父様が納得のいく治療を受けられることをお祈り申し上げます。