Q:先生のHPを拝見致しまして、是非お尋ねしたいことがあります。

私の父は、高熱が続き一週間前ある病院に入院し、精密検査の結果「肝内胆管癌」で余命半年と言われました。肝臓の半分に10cm大の腫瘍が出来ていて、残り半分にも転移しているそうです。肝臓の方は、切れる状態であれば手術をするが、たとえ手術で肝臓を限界まで切っても、再発する可能性が高いと言われました。

 そこで、質問ですが、1.今の父にとってベストの治療は、何か。2.先生がHPで上げられています「動注化学療法」は、父に適用出来るのか。その場合の延命確率はどの程度あるのか。

 たとえ零に近い可能性でも、やってみる価値のある事であればしてあげたい思っております。また、可能性は無くても父には、最後まで出来るだけ痛みが少なく、クオリティオブライフを全うして欲しい、と言うのが私達家族の切なる願いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

 

A: ご心配のことと思います。

 お父様のご病気は、「肝内胆管癌」で肝臓に大きな腫瘍を作っているとなると、かなり悪性度が高い病気です。

 ベストの治療は?ということですが、全身状態等、診さていただいておりませんのではっきりいえませんが、ご本人がきちんと病名、病状を認識して、これからの治療を積極的に、自ら進んで受け下さる意志があるかどうかで、全く違ってきます。

 病名病状を理解していただかないで治療を行うと、抗ガン剤や放射線を併用する場合には副作用がでてきます。「なんでこんなつらいことしないといけないのか?」「もっと具合がよくなってから治療を受けてみよう」「何で治療しているのによくならないんだろう」などと、苦しむことが多くなるようです。

 動注化学療法にしても、全身化学療法にしても、抗ガン剤を長期間投与し続けることが重要ですので、治療がお父さんにとって日常の仕事と思えるようになっていただかないと、長続きできませんし、長続きしないと進行を抑える効果が得られません。

 現在当院では、「低用量シスプラチン+5-FU療法」という、肝臓の動脈から抗ガン剤を入れる方法をとっていますが、残念ながら、いまだ治療効果はあまり高くありません。とても治療効果が得られにくい疾患です。ですから、副作用の少ない、かつある程度効果が見込める治療法としてこの治療を選択し行っています。最低3ヶ月の連日持続投与が必要になりますので(ただし副作用が余りないので外来でできます)、ご本人の決意がないと、副作用でつらいということはなくとも、日常生活上での煩わしさがありますので、治療を完遂できないかもわかりません。看護師さん達は、患者さんに治療開始前から、一緒に治療を進めていけるよういろんな指導をしてくれています。

 詳しい方法については、ご本人と、みんな様方とも協力していく必要があります。まずご本人が希望と、気力を持って治療を受けることができるように、お父様にきちんと病気、病状を伝える決心ができるかどうかを話し合ってみていただけませんでしょうか。