Q:こんにちは、39才男性です。先日、人間ドック(エコー)で5mm程度の像が発見され、CT検査(造影剤)をしました。しかし、CTには何も写っていなく、診断では、「ほぼ肝血管腫であり、6ヶ月後に大きさをみましょう。」で終わりました。また、「5mmと小さいため、CTのスライス幅の関係から、何も見えないことも考えられる。MRIをしても同じ可能性はある。」とのコメントがありました。6ヶ月後のチェックだけで安心でしょうか?

 

A:さて、ご質問の「肝血管腫」ですが、超音波で肝腫瘍が見つかった場合には、C型肝炎、B型肝炎、その他の原因での肝機能障害(多くはアルコール性脂肪肝)のあるなしで話が変わってきます。
 肝機能障害がなければ、検診で見つかった高エコー(超音波の像で白く写る)を呈する肝腫瘍(良性も悪性も含めて肝腫瘍と言います)の場合、ほとんどが「肝血管腫」と呼ばれる良性腫瘍です。肝臓の中に毛細血管が一部増殖して腫瘍状に発育したものです。「顔などにできる赤あざのようなものが肝臓の中にできているものと考えて下さい。」と患者さんには話しております。正確には腫瘍の本質を現してないとお叱りを受けるかもしれませんが、患者さんに理解していただけるための例えとして用いています。

 3ヶ月後、6ヶ月後に再検査してみて、大きさや形に変化がなければ、1年に1回の超音波検査で経過を見ていきます。中にどうしても心配で仕方がないと言われる方がありますが、そのような方にはMRIという検査をお勧めしています。CTは放射線被曝の問題、造影剤という薬を投与しながら検査しますが、副作用の問題もあり第一選択にはしておりません。

 どんどん大きくなって・・という心配もまずありません。ただし、子供さんの場合、心不全状態で見つかる大きな肝血管腫は手術の対象となることがあります(カサバッハ・メリット症候群と言います)。

 一方、前述の肝炎・肝機能障害が有る場合は、話が全然違ってきます。「肝細胞癌」という悪性腫瘍の早い時期である可能性がでてきますので、CTあるいはMRI検査を受ける必要があります。まず、肝機能障害があるかないか調べてもらって下さい。なければ3ヶ月、6ヶ月後に超音波の再検査を受けて下さい。大きさや形に変化がなければ、年に1回経過観察の超音波検査を受けるようにして下さい。できるだけ同じ施設でみてもらうようにした方がいいと思います。