胆のうポリープ


Q: はじめまして。ホームページ拝見しました。

 実は54歳になる父のことで相談があるのですが・・・先日会社の健康診断の結果が届き、胆のうにポリープができているという結果が出て、今後様子を見ていくとのことでした。

 良性か悪性のどちらかわかるのが、2〜3ヶ月先らしいのですが、どちらの結果が出たにしろ、このようにのんびりと待っているだけでいいのでしょうか(父はいつもと変わらない生活をしてお酒とたばこをやめていません)。

 胆のうの手術は大変難しいとのことですが、私としては一刻も早く信頼できる病院で処置したほうがいいと思うのですが、いかがでしょう。

 お忙しいところ申し訳ありませんが返事をいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。


A:はじめまして。

 「胆のうポリープ」とのことですが、健診での超音波検査で一番よく見る疾患の一つが「胆のうポリープ」です。

 「胆のうポリープ」は大きさが問題で、10mm以上ですと悪性腫瘍(胆のう癌)を合併している、すなはちポリープのどこかが癌化している可能性が高くなるので、手術を勧めます。

 5mm以下ですと悪性腫瘍の可能性はほとんどないので、3ヶ月後・6ヶ月後に超音波で再検査させてもらいます。大きさ・形に変化がなければ年に1回の超音波検査を受けるようにしてもらいます。

 5〜8mmであれば半年に1回超音波で経過を見ます。大きさ・形に変化があれば精密検査(CT検査)を受けて頂きます。

 8〜10mmですと、「腹腔鏡下胆のう摘出術」という、お腹をあけずに内視鏡で胆のうを取る手術を紹介し、ご本人と相談の上手術を受けてもらうかどうかを決定します。

 おそらくお父様の「胆のうポリープ」は3〜4mm程度のものだったのではないでしょうか?初めてみつかったら、通常3ヶ月後にまず超音波の再検査をします。それで手術に回る方はほとんどありません。しかし、「小さな胆石」を「胆のうポリープ」と見間違うことがあります。「胆石」ですと、特有の発作(三大痛い病の一つですから)をおこす場合があります。はじめはみぞおちのところに痛みを感じますので、胃が悪いのかなと思って胃カメラを受けてもなにも異常がないという事もあります。そのような場合は超音波検査もしてもらって下さい。

 実は、かくいう私も40歳健診の時「胆のうポリープ」を発見され(自分が指導に行っている健診センターで)、4mmだったものですから放っておったのですが、昨年春みぞおちが痛み、胃炎かなと思って胃薬を飲んでいましたが治らず、胃カメラを必死の思いで(初めてでしたから)受けても異常なし。ところが痛くて痛くて、痛み止めをしながら仕事をしていましたが(具合の悪い医者に看られる患者さんも大変だったでしょう)、おかしいと思い自分で超音波をお腹に当ててみたら、さあ大変、胆のうがパンパンに腫れていて「急性胆のう炎」と診断し、すぐ外科を紹介しました(?)。翌週「腹腔鏡下胆のう摘出術」をしてもらいましたが、金曜日に入院し、月曜日に手術し(約1時間ぐらい)、次の金曜日に退院し、月曜日から仕事しました。

 ということで、「胆のう癌」の手術はいまでも大変難しいのですが、「胆のうポリープ」はお話ししてきましたように、恐れる必要はありません。いままでと同じ生活をしてもいっこうにかまいません。別に生活を変えたところで治るわけでもないし、悪くなるわけでもないし・・お父様の体を心配する子供の気持ちをみにじるようで申し訳ありませんが・・・私も手術の前日だけたばこを止めただけでした。

 まず、3ヶ月後・6ヶ月後に超音波検査をして、変化なければ経過観察としてもいいと思います。悪い物が疑われるのでしたら、その場で精密検査を勧められているはずですから、そんなに心配しなくてもいいと思います。