☆MRI検査について☆
MRI(磁気共鳴画像診断)装置で画像を得るためには、体全体あるいはその一部を大きな磁石(磁場)の中に入れ、パルス状のラジオ波(ラジオなどの無線放送で使われているような周波数域にある電磁波)を送ります。そうすると体の細胞を構成する水素原子が、このラジオ波からエネルギーを受け取ります(共鳴現象といいます)。パルス波が切られた後、この吸収されたエネルギーがもとの状態に戻るとき、外部に信号が放出されます。その信号をコンピューター処理して画像にしたものがMRI画像です。MRI画像は、体の縦、横、斜めとあらゆる断膚写真が得られ、病気の診断に大変役立つ検査です。磁石を用いますので、心膚ぺ−スメーカーや、金属を含む心臓人工弁を装着している方は原則として撮影ができません。てんかんや不整脈の既往のある方、体内に金属が入っている方、例えば手術で人工関節や、脳動脈瘤(りゅう)クリップを有している方は撮影可能かどうか主治医に相談してください。胎児の診断も行うことがありますが、妊娠中の方、妊娠の可能性のある方、また、閉所恐怖症など狭い場所が苦手な方も、あらかじめ主治医に申し出てください。
磁石に吸い寄せられるような物は検査の妨げになるばかりか、重大な事故の原因にもなります。時計、指輪、ネックレス、イヤリング、ピアスなどの責金属類、眼鏡、補聴器、入れ歯、へアピン、エレキバン、金属の付いた下着、コイン、かぎ、キヤッシユカード、テレホンカードなど磁気テープを使用しているものは検査室内には持って入れません。検査時間は撮影部位によって異なりますが、だいたい30分程度です。検査中、ラジオ波を送るときに、連続的にトントンと大きな音がします。痛みは伴いませんので、体の力を抜いてリラックスし、動かないようにしてください。検査担当者とはいつでもマイクを通して会話ができますので安心してください。病気によっては、MRI用造影剤を静脈注射する場合があります。検査する部位をはっきりと写し出すために用いる薬です。安全な薬で、当科では副作用の経験はありませんが、万一気分が悪くなったりしたらすぐに知らせてください。
MRI診断装置は病気の診断をする上で、非常に有用な検査方法です。県内にも多数設置されていますが、いくら有用な診断機器でも、検査担当者や診断医が十分な知識を持っていないど、「宝の持ち腐れ」となってしまいます。そのようなことにならないよう、知識向上を心掛けるのが医疾者側の義務と考えています。