核医学検査って何? 

森田荘二郎(放射線科医長)


 大きな病院へ行くと、「核医学検査で骨を調べましょう」とか「RI(アールアイ)検査で腎臓を調べましょう」とか言われることがあると思います。核医学検査(RI検査)とはどんな検査でしょうか?

 核医学検査とは、特定の臓器や組織に取り込まれやすい薬に、ごく微量の放射性同位元素をくっつけて(放射性医薬品)目的の部位に集め、そこから出る放射線を専用のカメラ(ガンマカメラ)で画像としてフィルムに写し出す(シンチグラフー)検査法です。投与された放射性医薬品は身体全体の状況や、臓器・組織の生理的状態に応じて分布します。病気があれば、本来集まるべきところに集まらなかったり、集まりが強すぎたり、異常な場所へ集まったりします。また、どこに病気があるのかわからない時には、頭のてっぺんからつま先まで調べていくこともできます。

 それでは核医学検査にはどんな種類があり、どんな病気がわかるのでしょうか?当院でおもに行っているものとしては、脳の血流を見ることで、脳梗塞や脳出血、アルツハイマー型痴呆などを調べる「脳血流シンチ」、甲状腺機能亢進症・機能低下症、慢性甲状腺炎、甲状腺腫瘍など甲状腺疾患を調べる「甲状腺シンチ」、肺の血流を見ることで肺梗塞の有無などを調べる「肺血流シンチ」、狭心症・心筋梗塞の診断を行う「心筋シンチ」、心臓の動きを見る「心プールシンチ」、肝機能害の程度を調べる「肝シンチ」、黄疸の原因を調べる「肝胆道シンチ」、腎臓の働きを調べる「レノグラム」、小児に多い神経芽細胞腫や、他の副腎腫瘍の有無を調べる「副腎シンチ」、炎症の有無や、腫瘍の広がりを調べる「ガリウムシンチ」、骨に異常がないかどうか調べる「骨シンチ」、消化管からの出血が疑われる時に行う「出血シンチ」などがあります。

 ところで核医学検査には副作用はないのでしょうか?放射線被ばくが最も気がかりだと思います。放射性医薬品は短時間で放射能が消失するものを選んで使用していますので、小児でも放射線被ばくを心配することはありません。仮に妊娠しているときに検査を受けたとしても、胎児に影響が現れることはありません。しかし、妊娠していると思われる場合には、行わない方がよいのは当然です。薬そのものとしての副作用の報告もありますが、頻度はきわめて低く当院でも経験したことはありません。

多くの核医学検査では特に患者さんが準備することはありません。しかし、検査の性質上、目的の臓器に薬が集まるまで何時間か待っていただいたり、検査の前に食事を制限したり、服用中の薬を一時中止していただく場合もあります。詳しくは主治医の先生がご存知ですので、検査の目的・方法なども含めて説明を受けるようにして下さい。