力学的エネルギーと仕事 ~仕事による力学的エネルギーの変化を見てみよう~
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速度
外力
説明:
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力学的エネルギーと仕事の関係を確認するためのページです。
鉛直下方に重力がはたらく中で,ばねの一端に取り付けられた物体を運動させる場合を見てみます。ばねの他端を支えている手を動かすことで,物体にいろいろな運動をさせてみます。すると,「物体の運動エネルギーK」(緑グラフ),「ばねの弾性力による位置エネルギーUe」(灰色グラフ),「重力による位置エネルギーUg(基準を灰色の線に設定)」(茶色グラフ)の値が,刻々と変化することがわかると思います(はじめはW(P)のグラフは無視してください)。「K」は物体の速さの2乗に比例して変化します。「Ue」はばねの伸縮の2乗に比例して変化します(ばねの自然長は重力とつり合って静止しているときの長さの半分としています)。「Ug」は基準線からの高さに比例して変化し,基準線より下では負の値となります(紫色グラフ)。物体の運動とそれそれのエネルギーの変化の関連を確認してみましょう。
次に,手を止めてみましょう。物体は運動し続け,それぞれのエネルギーの値も変化し続けますが,それらのエネルギーの値をすべて加え合わせた「力学的エネルギーE」(右端の赤枠グラフ)は一定の値になっていることが確認できます。例えば,物体が下に移動すると「Ug」が減少しますがその分だけ「Ue」と「K」が増加し総和は変わりません。それぞれのエネルギーの増減はあっても力学的エネルギーは変化せず保存されることを,「力学的エネルギー保存則」と呼びます。
再び,手を動かしてみましょう。すると,力学的エネルギーが変化します。これは,手がばねにおよぼす力(外力)が仕事をすることで,力学的エネルギーが変化するためです。「外力の仕事W」(実際には仕事率Pに対応し時間をかけたものが仕事となります)もグラフで確認できます。正の仕事(赤グラフ)をすると力学的エネルギーはその分増加し,負の仕事(青グラフ)をすると力学的エネルギーは減少します。力学的エネルギー保存則は外力によって仕事をされない場合に成立するということが確認できます。
下部の「ベクトル表示」のチェックボックスで,物体の速度ベクトル(緑)や,手のおよぼす外力のベクトル(赤)を表示できます。外力のベクトルの方向に手をグイっと動かすと正の仕事を,逆に動かすと負の仕事をすることができますので,力学的エネルギーの増減をコントロールしてみましょう。
●手の部分を動かすことで,ばねを介して物体を運動させることができます。
●右側のグラフにより,手のおよぼす外力の仕事W(または仕事率P),運動エネルギーK,ばねの弾性力による位置エネルギーUe,重力による位置エネルギーUg,力学的エネルギーEを確認できます。力学的エネルギーのグラフには,それぞれのエネルギーの内訳も色分けで表示されます。
●「ベクトル表示」のチェックボックスをチェックすることで,物体の速度ベクトル,手がおよぼす外力のベクトルを表示させることができます。
●「Reset」ボタンで最初の状態に戻すことができます。
補足:重力や弾性力など,位置エネルギーを考えることができる力を保存力といいます。保存力は外部からされた仕事を位置エネルギーとしてたくわえ,逆に位置エネルギーが減少するときに正確にその分だけ外部に仕事をすることができます。一方,保存力により仕事をされた物体はその分だけ運動エネルギーが増加します。したがって,運動エネルギーと位置エネルギーの和である力学的エネルギーは,増減がちょうど打ち消しあって変化しないことになります。