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3 2002/02/11(Mon) 03:18 デカドンちゃん
かなりムチャクチャ
全てを詳細に読んだわけではありませんが、かなりムチャクチャな理論展開ですね。

>しかし、では本当に「獲得形質」は「遺伝子」よりも非科学的なのでしょうか。たとえば、英語を話せないと生き残れないような環境では、英語を覚える能力が高い個体が生き残りやすくなりなります。これは、親がすべて英語を話せるという獲得形質が影響していることは明らかです。

いつ「英語を話せる能力」なる“獲得形質”が発見されたのですか?
同様に「日本語を話せる獲得形質」や「ヒンズー語を話せる獲得形質」なんてのもあるのでしょうか?(なければおかしいですよね)
英語が話せないといけない環境(つまり英語圏)に住んでいれば、大概覚えてしまうものでしょう。
800単語も覚えれば、日常会話に差し支えないのですから。

それからもう1つあげましょう。

>頑張った分だけ進化する、種はみんなで協力して進化していった、なんて考えやすいのですよ。

>偶然に宝くじに当たったものが生き残り、そのまま平凡にまじめに生きていると滅亡するなんて、実生活の感覚と違いすぎます。

これは科学理論に価値観を持ち込んだ不適切な比喩だといわなければなりません。
そもそも単細胞生物が「多細胞生物になろう」などと努力することがあるでしょうか?しかも「種」の単位でです。
ぜひ単細胞生物のコミュニケーション手段を知りたいものです。

「WEB版 はじめての進化論(河田雅圭)」
http://meme.biology.tohoku.ac.jp/INTROEVOL/
に以下のような記述があります。

 さて、一九八二年の後半から一九八三年にかけて、ガラパゴス諸島は例年にない雨にみまわれた。降水量は二四○ミリで、過去五年間の平均降水量の十四倍の値である。
 この気候変化によって、この島ではサボテンがほとんど枯れてしまい、一九八四年には、サボテンの実はほとんど見つけることができなくなった。そのため同年から翌年にかけ、オオサボテンフィンチの食料は、木の皮の下に隠れている昆虫類と腐ったサボテンの葉肉だけになってしまった。
 それまでサボテンの種子を食べていた個体は、食べ物を得るのに苦労することになり、実際、特にサボテンの種子が激減した一九八三〜一九八四年には、それを主に食べていた、長いくちばしのオオサボテンフィンチの死亡率が高まった。また、一九八四〜一九八五年には、特に木の皮の下の昆虫をうまく食べることのできる、くちばしの高い個体の生存率が高くなった。ただしこれは、くちばしの高い個体の生存率が高まったということではなく、相対的にくちばしの低い個体の生存率が低下したためである。そのうえ、くちばしの高い個体は、長い個体より多くの餌を得ることで、体のサイズや活動性が相対的に高まり、雄はより多くの雌と交尾をすることができた。
 こうして、この島のオオガラパゴスフィンチの集団では、くちばしの長い個体が減り、くちばしの高い個体が増加したのである。

(引用終了)

この自然選択をもたらした天候の変化にどのような必然性があるのでしょうか?
突き詰めれば異常気象の原因ははっきりするでしょうが、フィンチにとってみれば「偶然」に過ぎません(フィンチが気象をコントロールすることなどできない)。当然フィンチがそのような気象の変化を予測して努力することなどできるわけがないのです。

自然選択そのものが観測される事実である以上、たとえ実感になじまないとしても、それを理由に否定することはできません。

ところで参考資料の一覧がありませんが、すべてご自身の研究(?)によるものなのでしょうか?

挨拶

同じように誤解をしている方がいらっしゃるかもしれませんので、ご返答させていただきます。
こんにちは、管理人です。

> 3 2002/02/11(Mon) 03:18 デカドンちゃん

夜更かしは体によくありませんよ、連休最後なのに、寝不足で無駄に過ごしてしまいますよ。(私は三日ともお仕事でした)

> 全てを詳細に読んだわけではありませんが、
> かなりムチャクチャな理論展開ですね。

きちんと読むと誤解が少なくなるかと思います。
コラムのような読みやすいところばかりでなく、本文もQ&A形式にして分かりやすく作ろうとそれなりに工夫しているつもりです。 コラムは楽しく読めるように、飲み屋での雑談のように 感覚的・感性的な書き方をしています。 「理論展開」と呼べるようなものは、あまりないかと思います。
ま、気楽に読んでください。

とりあえず、本流のネオ・ダーウィニズムの基本を理解しましょう。ネオ・ダーウィニズムも面白い学説です。

獲得形質

> いつ「英語を話せる能力」なる“獲得形質”が発見されたのですか?
> 同様に「日本語を話せる獲得形質」や
> 「ヒンズー語を話せる獲得形質」なんてのもあるのでしょうか?
> (なければおかしいですよね)
> 英語が話せないといけない環境(つまり英語圏)に住んでいれば、
> 大概覚えてしまうものでしょう。
> 800単語も覚えれば、日常会話に差し支えないのですから。

日本語だろうがヒンズー語だろうが英語の1単語だろうが それを話すことができる能力は 明らかに生まれてから後に身につけたもので 環境が変われば身に付かなかったものです。
つまり、明確に「獲得形質」です。 獲得形質に「発見」などという言葉遣いは普通しません。
しっぽがケガでなくなっても、虫歯になっても獲得形質。
虫歯になりやすい体質や、しっぽが先天的にないのが遺伝形質。

理解しました?
「獲得形質は遺伝しない」とは、 親が虫歯になっても、虫歯にならなくても、 その子供の虫歯には全然関係ないってことです。親がもともと先天的に持っている「虫歯になりやすい(なりにくい)体質」だけが遺伝する、ってことです。頑張って秀才になっても、生まれた子供は頑張る前のまま。

ま、獲得形質も遺伝形質と入り交じってるし、進化学では相手にされていないので、明確で詳細な定義がなく、様々なパターンを考えると混乱してきますので、ざっと把握してください(ざっと説明しています)。「獲得形質の遺伝」は「用不用の法則」とペアになっています。よく使う器官は発達するし、使わないと退化する、ってことですね。使わないと退化するっていうのは、現在では完全に認められたといってよいでしょう。使うと進化するか、というのがネオ・ダーウィニズムとネオ・ラマルキズム(どこにいるんだかしらないが)の争点(相手にされずに一方的に主張しているのが現実ですが)です。

遺伝というのは、親から受け継いだものをそっくりそのまま、子供に引き継ぐもので、今、子供に遺伝子を引き継いだときの親の形質がどうだとか関係ないってことです。親からなにを受け継いだかだけが遺伝に関係するのです。遺伝が変化する可能性は突然変異だけが持っています。親から受け継いだものが変化するときは、でたらめに偶然に変化するのです。

ま、最初から例えが不適切であることは自分でも分かってます。 人類は進化の例えには向かないものです。 分かりやすいかなと思ってこういう例えにしています。

ちなみに800の英単語を使いこなすためには、 何千の使い方を覚えないといけません。
単語数を増やす方が簡単ですよ。
熟語はごっちゃになって難しい。

進化速度

> これは科学理論に価値観を持ち込んだ不適切な比喩だといわなければなりません。
> そもそも単細胞生物が「多細胞生物になろう」などと努力することがあるでしょうか?
> しかも「種」の単位でです。
> ぜひ単細胞生物のコミュニケーション手段を知りたいものです。

獲得形質の遺伝を語るときには 獲得形質が発生する種が対象となります。
単細胞生物でも環境変異(くどいようですが環境変異も獲得形質)や地域変異(偶然により、ある遺伝子が狭い空間に広がった変異)はあるでしょうが、大変小さいと考えるべきでしょう。

 

ダーウィン選択

> この自然選択をもたらした天候の変化にどのような必然性があるのでしょうか?
> 突き詰めれば異常気象の原因ははっきりするでしょうが、
> フィンチにとってみれば「偶然」に過ぎません
> (フィンチが気象をコントロールすることなどできない)。
> 当然フィンチがそのような気象の変化を
> 予測して努力することなどできるわけがないのです。
> 自然選択そのものが観測される事実である以上、
> たとえ実感になじまないとしても、それを理由に否定することはできません。

種の衰退に伴う正の自然選択は存在します。これは、不利な個体が一方的に滅んだために有利な個体(滅ばなかった個体)が、あいた空間に広がるために起こるものです。

疑問視しているのは狭義のダーウィン選択です。同種内でより多く子供を増やせる形質(生存力のアップももちろん含まれます、結果的により多く子孫を残せますから)は、より少なくしか子供を増やせない形質を圧迫して、やがて、より多く子供を増やせる個体だけになる、という自然選択です。これは、環境の変化がなくても継続して絶え間なく続く自然選択です。ただ増えるだけでは選択は行われません。増えると同時に、増えることによって他の個体を淘汰しなければいけません。

特に、同種内の自然選択であることを、内臓にまでしみこませて理解してください。他種との競争ではなく、同種内の競争がダーウィン選択です。

 

漸進論

このように、環境の変化なしに恒常的に進化が休みなく今も続いているという説を漸進論と呼びます。典型的なものが赤の女王仮説ですが、これは、進化そのものが環境の変化となり、他種の進化が進化を発生させ連鎖するような構造になっています。この説も面白いのですが評価は低いようです。ダーウィン選択は同種内、赤の女王仮説は他種の影響ということに注意してください。全く別のものです。漸進論は保守本流であるネオ・ダーウィニズムでの主張ですので、進化にサイクルがあるというような説は傍流・亜流になります。

トンデモ学説の取り込みはこれからが本番です。(…いつになるか未定ですが)
まだ、この程度でツッコミは早い!

著作権

> ところで参考資料の一覧がありませんが、
> すべてご自身の研究(?)によるものなのでしょうか?

学術文書での参考資料の添付は 法的な問題ではありません。 思想や学説の基盤、及び事実などには、 それ自体には著作権は発生しません。 したがって、自分の文章で書く限りは、 「引用」の範疇ではなく付記の必要はないものと解釈しています。 もちろん、自分の手柄にしたらいけませんけれど。 もし、法的に問題があるようでしたらご連絡下さい。

参考文献等(WEB含む)は今となっては不明です、というか、さくっと作ったために自分の記憶がもとになっていますので、書くたびに文献を確認するという行為は行っていませんし、手元にもありません。もともと、知的所有権は権利を保護するためにできたものではありません。 それを保護することによって、技術を公開させることによる技術の向上・共有化のためにできたものです。学術関係であれば、なおさら学術の普及のためにも、たとえ参照文献が不明な場合でも公開の自由が認められるべきだと、個人的な意見を持っています。 モラルとか慣例の問題については人それぞれでしょうし議論する気はありません。とりあえず、最低限の道徳といわれる法律の範囲内で行いたいと考えています。


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