中島みゆきの歌を聴き続けた時期がある。
あの頃は、私は、プリンスとピンクフロイドとみゆきの歌を聴いていた。
ピンクフロイドは誰も知らなかったからいいけれど、
プリンスとみゆきはゲテモノ扱いだった。
あるとき、部屋に遊びに来た友人がみゆきを聞いていた私に、
自分の世界に閉じこもらないでと怒ったことがあるぐらいだ。
別に歌に気を取られていた訳でもなくBGMとして流れていただけの歌にそれだけ反応したわけだ。
やがてプリンスはバットマンでみゆきは空と君のあいだにで、世間から公認されることになる。
でも、そのときには私はB'zに乗り換えていた。
久しぶりに聞いた町で流れていたみゆきの歌は相変わらず斜に構えてはいたが
今までの歌詞のパターンにない、
他人を守るためのものだった。他人のために怒ったり励ましたりという歌詞は多かったが
いつの間にこんな歌詞を書くようになったのだろうと、立ち止まった。
みゆきの、太く尖った声が思い出とともに私の心臓に爪を立てる。
懐かしいというのでもない、切ないというのでもない、息苦しいというのでもない、
なんだか、遠い国に舞い込み途方に暮れる違法外国人の気分になってしまう。
みゆきは、どこかの雑誌で今までは人を愛したことはなかった、今からはもっと愛したいと思う、
と語っていた。その結果が、この空と君のあいだにという歌になったのだろうか。
この歌を聴きながら何故あのころ、あれほどみゆきの歌を聴き続けたのだろうかと考えた。
いまさら考えても、本当の理由は分からないだろうが、少なくても今の自分だからこそ、
正当なみゆきの評価ができそうな気がする。
別に自分探しなどと吐き気のしそうな言葉を使う気はないが、
みゆきの再評価によって何か新しい場所に行けそうな気がした。
てな訳でこれから徐々にみゆきの歌詞の評論をしていきたいと思います。じゃあね