▲Pumpkin Time▼ 空と君の間(中島みゆきの行方)


 

笑わせるじゃないか

典型的なみゆきの歌です。 一番人気のあるパターンでもありますね。
片思い、失恋、自己嫌悪、の組み合わせによってできる物語を歌詞にしたものです。 ただ、みゆきの場合、そのイメージの作り方がよくできています。 他のパターンの歌詞が情景を具体的に思い浮かべにくいのに比べ、 このパターンは、まるでその場にいるかのようにリアルです。
この歌が心に残るのは具体的なためばかりではありません。 司馬遼太郎の小説にもよくでてくる方式で、 結婚式のスライド写真のように過去のエピソードを織り交ぜています。 この方法により、聞き手は主人公と同化し感情移入が完了するわけです。
主人公の経験を共有すると、主人公の感情になりやすいのは、 テレビ番組の知ってるつもりをよく見てる人はきっと理解できますよね。
それと同時に人々の嫌悪感を誘発していたのもこのパターンの歌です。 主人公の行為に一度でも嫌悪を感じたら決して同化はできません。 独立して生きられず王子様が白馬に乗ってやってくるのを待ってるような 主人公に同感する必要などないのです。
シンデレラコンプレックスとかいう言葉が流行ったじきがありましたよね。 H20とかいうデュエットもこれをテーマにアニメのみゆきの主題歌を歌っていました。 ちなみに、このアニメにでてくる二人のみゆきのうちの一人、 鹿島みゆきは作者が中島みゆきのファンでなの字をとって作ったんですって。
でも、みゆきの歌の登場人物は、ただ待ってるだけなほど、素性はよくありませんね。
まあ、今、思い返せば、可愛い駄々っ子って感じですね。
しかし、ただの駄々っ子でないのは、 その行為を客観的に見つめ 自己嫌悪の中で笑わせるじゃないかと自分の弱さを直視していることです。