▲Pumpkin Time▼ 空と君の間(中島みゆきの行方)


 

わかれうた

この歌を他の人はどのようなイメージで聞いているのか知らないが、 私はいつも、女郎に売られた遊女を思い浮かべる。 やまねこでは女衒なんて言葉まででてきたが、時代錯誤な出だしである。 色鮮やかで派手な柄の着物を着た女性が道に倒れたまま片手を道の先に伸ばして 男の名を呼び続ける、時は夕暮れ、もう暗くなりかけている。 人々は怪訝な表情をして傍らを次々に過ぎていく。そういう情景だ、私が思い浮かべるのは。
みゆきの魅力は多分あの声にある。 投げ遣りで、太く、どこか角張って、人を攻めるときの調子に似ている。 甘ったれた、舌っ足らずで、拗ねた調子だったりもする。
歌詞は確かに特徴的で、賞賛と罵声を浴び続け、注目を世間から浴び続けていた。 しかし、その歌詞の意味を説明できる人がいるのだろうか。 意味とは、知ったかぶりをした本当の意味も知らないくせにとかで使うときのものではなく、 具体的なイメージ、何処でどうしたという説明ということである。
歌の中で、歌詞のイメージは曖昧として皮膚に染み込んでいく。 歌詞の解釈などできないほどに圧倒的な個人的なイメージをそれぞれの肺臓に呼吸とともに 膨らませる、それがみゆきなのかもしれない。