▲Pumpkin Time▼ 空と君の間(中島みゆきの行方)


 

ほうせんか

幸福な少女時代を過ごしたひとは弱者への感情移入が可能になるものです。
彼女の郷愁と弱者への同化は、もしかするとそうして完成したのかもしれません。
しかし、単に弱者への感情移入だけでは説明できないものがあります。
それが、人間不信、なのです。
人間不信は少女時代に良好な友人関係を作れなかった場合に発生しやすくなります。 逆に郷愁は幸福な家族関係、友人関係により発生します。
これらは矛盾するのです。 それで、中をとって、家族の愛には恵まれたが友人に恵まれなかった、 ということにしておきましょう。(本人の怒りをかわないかしら)
弱者への感情移入が進むと、憎悪までも代弁するようになります。 この優しい歌の中に、相手の幸福を祈れないという台詞をわざわざ入れるのは その憎悪が未練の中に隠れているためではないでしょうか。 そして、振った相手の幸福を祈るという非人間的な行為を嫌悪しているように思えるのです。
できれば、世界中の人の幸福を祈りたい。 しかし、それほど人間は上等にはできていないものです。