分数の計算
分数
正の整数 n に対して、a × n = 1 となるようなものを考えます。
これを 1/n と書きます。
(
というふうにもと書きますが、
ここではうまく書けないので、1/n と書きます)
(1/n) × m を m/n と書くことにします(m は整数)。
このような書き方(分数)で表すことができるものを 有理数 と言います。
上に書いた規則以外は、有理数は整数と同じような(加減乗除の)
性質を持つとしてうまくいきます。
分数の加法と減法
分数についても、分配法則が成り立つとします。
たとえば、
(2/3) + (5/3) = ((1/3)×2) + ((1/3)×5) = (1/3)×(2 + 5)
= (1/3)×7 = 7/3
のようになります。
つまり n, a, b を整数とするとき
(a/n) + (b/n) = (a + b)/n
が成り立ちます。
分数について、乗法の交換法則、乗法の結合法則も成り立つとします。
たとえば、
1/2 = (1/2)×1 = (1/2)×((1/6)×6)
= (1/2)×(2×((1/6)×3))
= ((1/2)×2)×((1/6)×3)
= 1×((1/6)×3)
= (1/6)×3 = 3/6
のようになります。
このように、
分子(線の上にある数)と分母(線の下にある数)に同じ整数をかけたものも、
(われるなら)同じ整数でわったものも等しいということになります。
分子と分母が共通の約数を持っているときは、
両方を最大公約数でわると、
共通の約数を持たないようにすることができます。
これより
(1/2) + (10/3) = (1/6)×3 + (1/6)×2×10 = (1/6)×(3 + 2×10) = 23/6
となります。
分数の加法、減法は以下のようにすればよいです。
- 2つの分数の分母が等しくなければ等しくなるようにします。
これには、分母の最小公倍数 n を求めて、
両方の分数の分子と分母に同じ数をかけて
両方の分母が n になるようにすればよいです。
- 分母が等しい分数のたし算・ひき算は、分母は同じで、
分子は分子どうしのたし算・ひき算になります。
- 分子どうしのたし算・ひき算を行います。
ここでは、これをやってみることができます。
分数の乗法と除法
分数について、乗法の交換法則、乗法の結合法則も成り立つとしたので、
たとえば、
(4/5)×(7/3)
= ((4/5)×(7/3))×((1/15)×15)
= (((4/5)×5)×((7/3)×3))×(1/15)
= (4×7)×(1/15)
= 28/15
のようになります。
この図は次の関係を表しています。
このように、
a, b, c, d を整数(b, d は 0 ではない)としたとき、
(a/b)×(c/d) = (a×c)/(b×d)
となります。
分数の乗法は以下のようにすればよいです。
- 分数のかけ算は、
分子は分子どうしのかけ算、分母は分母どうしのかけ算になります。
- 分子どうしのかけ算、分母どうしのかけ算を行う前に、
分子と分母に共通の約数があるときは、その数でわっておきます。
- 分子どうしのかけ算、分母どうしのかけ算を行います。
- 分子と分母に共通の約数があるときは、その数でわっておきます。
ここでは、これをやってみることができます。
整数はたし算、ひき算、かけ算はできますが、
わり算 x ÷ y は x が y の倍数のときしか定義できませんでした。
有理数では、y が 0 ではないときはわり算が定義できるようになります。
(有理数 x と 0 ではない有理数 y から x ÷ y という有理数が決まる)
わり算は次のことが成り立つようなものとします。
x × y = z ならば(そして y = 0 でなければ) z ÷ y = x であり、
z ÷ y = x ならば x × y = z である。
- (1/n) × n = 1 なので 1/n = 1 ÷ n となります(n は整数)。
- (1/n) × n = 1 なので n = 1 ÷ (1/n) となります(n は整数)。
- (m/n) × n = ((1/n)×m) × n = ((1/n)×n) × m = 1 × m = m なので
m/n = m ÷ n となります(m, n は整数)。
- (m/n) × (n/m) = ((1/n)×m) × ((1/m)×n) = ((1/n)×n) × ((1/m)×m)
= 1 × 1 = 1 なので
n/m = 1 ÷ (m/n) となります(m, n は整数)。
- (a×(b÷c))×c = a×((b÷c)×c) = a×b なので
a×(b÷c) = (a×b)÷c となります(a, b, c は有理数)。
- a÷(m/n) = (a×1)÷(m/n) = a×(1÷(m/n)) = a×(n/m)
となります(a は有理数、m, n は整数)。
以上のことから
a, b, c, d を整数(b, c, d は 0 ではない)としたとき、
(a/b)÷(c/d) = (a×d)/(c×d)
となります。
分数の除法は以下のようにすればよいです。
- 分数のわり算は、まず、かけ算になおします。
そのためには、わる数の分子と分母を入れ替えたものをかける
ようにすればよいです。あとは、分数のかけ算を行います。
- 分数のかけ算は、
分子は分子どうしのかけ算、分母は分母どうしのかけ算になります。
- 分子どうしのかけ算、分母どうしのかけ算を行う前に、
分子と分母に共通の約数があるときは、その数でわっておきます。
- 分子どうしのかけ算、分母どうしのかけ算を行います。
- 分子と分母に共通の約数があるときは、その数でわっておきます。
ここでは、これをやってみることができます。