有理数は、分子と分母が共通の約数を持たない分数 m/n として 表すことができます。 もし (m/n)2 = 2 とすると、(m2)/(n2) = 2 なので、m2 = 2・n2 となるので m2 は 2 の倍数となります。 m2 が 2 の倍数ならば m も 2 の倍数になります。 m = 2・k (k は整数)と表すことができます。 すると m2 = 4・k2 となって、 m2 = 2・n2 だったので 4・k2 = 2・n2 ということになって 2・k2 = n2 となるので、こんどは n2 が 2 の倍数となり、n も 2 の倍数になります。 よって m と n が共通の約数を持つことになりました。 以上より有理数 x は x2 = 2 となることはないという ことがわかります。
a2 = 2 となる a を表すために、 「無限小数」を考えます。 「無限小数」は、自然数 n を決めると、 小数点以下 n 桁までの数字が決まるようなもののことです。 「無限小数」として表すことができるものを 実数 と言います。 a は 2 の平方根と言います。
「無限小数」x に対して、小数点以下 n 桁までをとった数 (n+1 桁以下を切り捨てた数、これは有理数です)をここでは x[n] と書くことにします。 ここでは、x[n] が全部 0 または正の数の場合を考えればよいので、 そうなっているとします。 このとき x[n] ≦ x < x[n] + 10-n という大小関係があるとします。 この大小関係については、有理数の大小関係と同じ性質を持つとします。
a2 = 2 となる a (で、正の数であるもの)に対して、 a[n] を計算してみます。 a と有理数の間には、有理数と同じ大小関係があるとします。 とくに q2 ≦ 2 < r2 ならば q ≦ a < r であるとします(q, r は正の有理数)。 a[0] は小数点以上の数とします。 12 ≦ 2 < 22 なので 1 ≦ a < 2 となります。 よって a[0] = 1 となります。 次に a[1] を考えます。 1.42 ≦ 2 < 1.52 なので 1.4 ≦ a < 1.5 となります。 よって a[1] = 1.4 となります。 次に a[2] を考えます。 1.412 ≦ 2 < 1.422 なので 1.41 ≦ a < 1.42 となります。 よって a[2] = 1.41 となります。 次に a[3] を考えます。 1.4142 ≦ 2 < 1.4152 なので 1.414 ≦ a < 1.415 となります。 よって a[3] = 1.414 となります。 このように、任意の n に対して a[n] を求めることができます。
以下では、ある数の平方根を計算することができます。