K を
w32 + w3 + 1 = 0 を満たす元
w3を含む体とします。
z0、z1、z2 を変数とし、
K の元を係数とする多項式の集合
R = K[z0,z1,z2]
上の多項式
(X - z0)(X - z1)(X - z2)
を考えます。
a
=
- ( z0 + z1 + z2 ),
b
=
z0z1 + z1z2 +
z2z0,
c
=
- z0z1z2
とおくと、
X3 + aX2 + bX + c =
(X - z0)(X - z1)(X - z2)
となります。
ここで z0、 z1、 z2 を
a、 b、 c を使って表すことを考えます。
Z = { z0, z1, z2 } と置きます。
Z から Z への全単射の全体を S とすると、
S は次の表で定義される6つの元からなる集合
S = { s0, s1, s2,
s3, s4, s5 }
となります(s0 は恒等写像です)。
この表は、
Z の元 zi の S の元 sj
による像
zi . sj
を表しています。
s0
s1
s2
s3
s4
s5
z0
z0
z0
z1
z2
z1
z2
z1
z1
z2
z0
z0
z2
z1
z2
z2
z1
z2
z1
z0
z0
S の元 si と sj
の合成 si . sj を、任意の Z の元 z に対して、
( z . si ) . sj = z . ( si . sj )
となるものとすると、
si . sj は次の表のようになります。
s0
s1
s2
s3
s4
s5
s0
s0
s1
s2
s3
s4
s5
s1
s1
s0
s4
s5
s2
s3
s2
s2
s3
s0
s1
s5
s4
s3
s3
s2
s5
s4
s0
s1
s4
s4
s5
s1
s0
s3
s2
s5
s5
s4
s3
s2
s1
s0
S の元 s に対して、s2 = s . s 、s3 = s . s . s
のように書くとすると、
s を S の元とします。
R の元 r は、r = c000
z00z10z20 + ... +
cijk
z0iz1jz2k + ...
という形の有限個の和なので、
r . s = c000
(z0.s)0(z1.s)0(z2.s)0 + ... +
cijk
(z0.s)i(z1.s)j(z2.s)k + ...
と定義することによって、s は R から R への写像と考えることができます。
R から R への写像 u、v に対して、u + v、u - v、uv、un を
r.(u + v)
=
(r.u) + (r.v),
r.(u - v)
=
(r.u) - (r.v),
r.(uv)
=
(r.u)(r.v),
r.(un)
=
(r.u)n
と定義します。
s43 = s0 なので
f1 =
s0 + ( s0 . s4 ) w3 +
( s0. s42 ) w32
とおくと、
( f1 . s4 ) w3 = f1
となるので、
f1 . s4 = f1w32
となります。
したがって、
X2 + (z0 + a)X + z02 + az0 + b
= (X - z1)(X + z0 + z1 + a)
+ z02 + az0 + b
+ z1(z0 + z1 + a)
= (X - z1)(X + z0 + z1 + a)
なので
X + z0 + z1 + a
の X に z2 を代入して、
z2 + z1 + z0 + a = 0
より
z2 = - z0 - z1 - a
となるので、これらを代入すると、
R の元 r は、z2 の次数は0次、z1 の次数は1次、
z0 の次数は2次以下にすることができます。
よって、
r = dz02z1 + ez02
+ fz0z1 + gz0 + hz0 + i
(d、e、f、g、h、i は、a、b、c の多項式)
と表すことができます。
S の任意の元 s に対して、r.s = r であるとすると、
d = e = f = g = h = 0 となるので、r は a、b、c の多項式で表すことができます
(説明は省略します)。
よって任意の R の元 x に対して
x . g12 は a、b、c の多項式で表すことができます。
とくに
z0 . g12 =
108a3c - 486abc + 729c2 + 108b3 -
27a2b2
となります。
R の元 x に対して y2 = x を満たす R の元 y が存在するとき、
そのようなものの1つを x1/2 と書くことにします。
すると、(-x1/2)2 = (x1/2)2 = x
となるので、-x1/2 も上の条件を満たします。
R の元 z が z2 = x を満たすとすると、
z2 = (x1/2)2 となるので、
(z - x1/2)(z + x1/2) = 0 となって、
z = x1/2 または z = -x1/2 となります。
よって、
z0 . g1 =
(108a3c - 486abc + 729c2 + 108b3 -
27a2b2)1/2
または
- (108a3c - 486abc + 729c2 + 108b3 -
27a2b2)1/2
となります。