聖書

予言されたユダヤ民族の歴史
すべてが聖書に予言されていた

 世界に、ユダヤ民族ほど、波瀾万丈の歴史を歩んできた民族は、他にはないでしょう。イギリスの有名な歴史家アーノルド・トインビーは、
 「ユダヤ民族が現在存在すること自体が、奇跡である
 と述べました。
 彼らは、三度も祖国を失い、約二〇〇〇年ものあいだ世界を流浪し、行く先々で迫害を受けました。それにもかかわらず民族の純粋性を保ち、滅びず、ついに二〇世紀になってパレスチナへ帰還し、祖国を再建したのです。
 ユダヤ民族は、今日私たちが見ることのできる生きた"奇跡"と言えましょう。しかも、こうしたユダヤ民族の特異な歴史は、あらかじめ聖書の中に予言されていたことなのです。
 ユダヤ民族は、聖書によれば、イエス・キリストを世界に来たらせ、また「聖書」を人類に与えるための"パイプ役"を果たした民族です。聖書の予言が、どのようにユダヤ民族の上に成就していったかを、見てみてましょう。


エジプトでの隷属(れいぞく)と脱出

 ユダヤ民族の歴史は、まずアブラハムという人物に始まります。
 アブラハムは、BC二〇〇〇年頃の人で、はじめはメソポタミヤ地方に住んでいました。メソポタミヤは、大河チグリス・ユーフラテスの流域で、「オリエント」とか「バビロニア」とも呼ばれた古代文明の発祥地です。
 ユダヤ人の父祖アブラハムは、多神教や偶像崇拝を信じる人々の間にありながら、唯一の神への信仰を持つ、温和な人物でした。
 彼は神からの召しを受けて、メソポタミヤを発ち、長い旅をして「カナン」地方(今日のパレスチナ)にやってきました。彼はそこで、息子イサクを生みました。またイサクからはヤコブが生まれました。
 ヤコブは、後に自分の名を「イスラエル」と改名しました。彼から出てきた子孫が「イスラエル民族」で、のちに「ユダヤ民族」とも呼ばれるようになったのです。
 このようにユダヤ民族は、メソポタミヤからカナンにやって来たアブラハムに始まりました。
 アブラハムが神に導かれてカナンにやって来た時、神は彼に、ユダヤ民族がどのような歴史をたどるかについて、予告をされました。旧約聖書・創世記一五章には、次のように記されています。
 「あなたの子孫は、自分のものでない国(エジプト)で寄留者(きりゅうしゃ)となり、彼らは奴隷とされ、四〇〇年の間、苦しめられよう(BC二〇〇〇年頃なされた予言 創世一五・一三)
 つまり神は、ユダヤ民族は約四〇〇年の間、エジプトの国で寄留者となり、奴隷とされ、虐げられると予告されたのです。実際彼らはBC一八七〇年〜一四四〇年頃にかけて、エジプトで奴隷でした。
 神の予告の言葉は、さらに続きました。
 「しかし、彼らの仕えるその国民(エジプト)を、わたし(神)がさばき、その後、彼らは多くの財産を持って、そこから出てくるようになる(一五・一四)
 神は、アブラハムの子孫が経験する不幸な歴史だけを、予告されたのではありませんでした。神は、彼らを虐(しいた)げる国民を「さばく」と約束されました。そしてユダヤ民族は、「多くの財産を持って・・・・・・そこから出てくる」だろうと。
 神は、ユダヤ民族を訓練するために、定められたある期間、エジプトの圧政のもとに置き、試練をお与えになりました。しかし、その後に民は、神の大いなる力によってエジプトを脱出しました。こうして彼らは、神に仕えることを学んだのです。


イスラエル民族はエジプトで
約400年の間、奴隷となって苦しめられた。
創元社『聖書物語』より

 このユダヤ民族のエジプト脱出が、有名な「(しゅつ)エジプト」と呼ばれる出来事です(BC一四四〇年頃。BC一二七五年頃とする説もありますが、これは誤りです。一列王六・一)。エジプトでの隷属と、出エジプトに関する聖書の記事の歴史性は、今日では多くの考古学的資料によって、裏付けられています。
 また、ユダヤ民族は今日でも、出エジプトの出来事を記念する「過越(すぎこし)の祭」を、毎年毎年、厳格に行なってます。彼らはその祭を、「出エジプト」の時以来、数千年にわたって守り続けてきたのです。


ソロモンの王国

 ユダヤ民族がエジプトの地を出たとき、それを指導した人物は、旧約時代の最大の預言者と言われる「モーセ」でした。
 モーセは出エジプト後、荒野において民の前に立ち、民に対する神のメッセージを伝えました。その内容は、民がもし神に従って歩むなら、ユダヤ民族は世界で最も"祝福"された民族になるだろう・・・・・・しかし、もし神を忘れて歩むなら、"苦難"の道を歩まねばならない、というものでした。
 この言葉は、祝福についても、苦難についても、等しくユダヤ民族の上に成就しました。まず、ユダヤ民族への祝福から見ていきましょう。モーセが語った言葉はこうです。
 「もし、あなたが、あなたの神、主の御声(みこえ)によく聞き従い、私が、きょう、あなたに命じる主のすべての命令を守り行なうなら、あなたの神、主は、地のすべての国々の上にあなたを高くあげられよう。・・・・・・あなたは祝福される(申命二八・一〜二)
 その通り、のちにユダヤ民族がカナンの地に入っていったとき(BC一四〇〇年頃)、彼らは神の力添えのゆえに「立ち向かってくる敵を・・・・・・敗走させ」(申命二八・七)、その地に住みつき、安住するようになりました。
 またサウルや、ダビデの時代になると(BC一〇〇〇年頃)、王国が確立し、国家は統一されました。さらにダビデの子ソロモンの時代になると、王国は巨大な領土を持つようになりました。
 その繁栄は、「ソロモンの栄華」として有名です。彼のイスラエル王国は、その強大な影響力のゆえに、当時世界最大の王国となりました。これは、かつて神が父祖アブラハムに言われた言葉の成就です。
 「わたしはあなたの子孫に、この地を与える。エジプトの川から、あの大川、ユーフラテス川まで。ケニ人、ケナズ人、カデモニ人、ヘテ人、ペリジ人、レファイム人、エモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人を」(創世一五・一八)
 東はエジプトから、西はユーフラテスまで与えるというこの約束は、ソロモン王(BC一〇世紀)の時代に、文字通り成就しました。ユダヤ民族は、予言の通り「地のすべての国々の上に・・・・・・高くあげられ」たのです。


バビロン捕囚・帰還

 しかし、"もしユダヤ民族が、神の教えに従わないなら、苦難の道を歩まなければならない"と語られた言葉も、彼らの上に文字通り成就しました。
 モーセは、ユダヤ民族が「主の御声に聞き従わない」なら、神の祝福を失い、神の守りから退けられ、さばきを受ける、と語りました。そしてついには、
 「主は、遠く地の果てから、わしが飛びかかるように、一つの国民にあなたを襲わせる。その話す言葉が、あなたにはわからない国民である(BC一四〇〇年頃の予言 申命二八・一五、四九)
 と述べたのです。
 さらに、このようにしてもなお彼らが神に反逆して生活するならば、今度は全世界に散らされる、とモーセは予言しました。
 「主は、地の果てから果てまでのすべての国々の民の中に、あなたを散らす。・・・・・・これら異邦の民の中にあって、あなたは休息することもできず、足の裏を休めることもできない」(BC一四〇〇年頃の予言 申命二八・六四〜六五)
 そして、
 「あなたのいのちは、危険にさらされ、あなたは夜も昼もおびえて、自分が生きることさえおぼつかなくなる」(二八・六六)
 と予言しました。
 すなわち、もし彼らが神に従わないようになるなら、まず言葉のわからない「一つの国」がユダヤを侵略する。さらに、その後なおも彼らが神に従わないなら、ついには全世界に散らされる、と予言されたのです。
 この予言は歴史的には、まずBC六〇六年に起きたバビロン帝国によるユダヤ民族の捕囚、そして次に、AD七〇年に起きたユダヤ民族の全世界への離散において、成就しました。
 まず、BC六〇六年に起きたバビロン帝国によるユダヤ民族の捕囚から、見ていきましょう。
 捕囚が起こる約一〇〇年前のBC七〇〇年頃、イザヤと呼ばれる預言者が民の前に現れ、警告されていた「一つの国」とはバビロン帝国(新バビロニア帝国)である、と予告しました。イザヤは、
 「見よ。あなたの家にある物、あなたの先祖たちが今日まで、たくわえてきた物がすべて、バビロンへ運び去られる日が来ている。何一つ残されまい、と主は仰せられます」(イザ三九・六)
 と述べました。
 この予言はBC六〇六年に、バビロン帝国の軍隊がエルサレムに攻め寄せて来て、ユダヤ人たちをバビロンへ連れ去って行ったときに、成就しました。
 さらにBC六〇〇年頃(捕囚期間中)、エレミヤという預言者は、ユダヤ人たちがバビロンで捕らわれている期間は、七〇年であることを予言しました。
 「この国は全部、廃虚となって荒れ果て・・・・・・バビロンの王に七〇年仕える(エレ二五・一一)
 この予言の通り、ユダヤ人たちがバビロンに捕囚となっていた期間は、BC六〇六〜五三六年(第一次捕囚から第一次帰還まで)で、ちょうど七〇年でした。


全世界への離散、そして回復

 つぎに、ユダヤ民族の全世界への離散を、見てみましょう。神に従わないならばやがて全世界に散らされる、との予言はどのように成就したでしょうか。
 この予言は、キリスト昇天後四〇年目にあたるAD七〇年に、エルサレムがローマ軍によって滅ぼされた時に、成就しました。
 エルサレムは、ユダヤ人の反乱を鎮圧するために攻め寄せてきたローマ軍の前に、陥落し、破壊されました。以後ユダヤ人たちは、約一九〇〇年もの長い歳月にわたり、世界の諸民族の中に散らされたのです。
 彼らは、異邦の地で流浪し、迫害され、辛苦(しんく)をなめねばなりませんでした。
 とくに第二次世界大戦中、何百万人ものユダヤ人たちがナチスの狂気の前に殺されたことは、よく知られている事実です。それはユダヤ人に対して繰り返された数多くの迫害の中でも、最も恐ろしいものでした。
 しかし、このような苦難の道を歩みながらも、彼らは依然として存続し、滅ぼされず、二〇世紀になると、世界各地からパレスチナに集まるようになりました。そしてついに一九四八年、イスラエル共和国の独立を宣言し、祖国を再建したのです。
 二千年ものあいだ他国を流浪していれば、たいていは、その地の民族と結婚して血が混ざり合い、民族の純粋性が失われてしまうでしょう。しかし彼らは、離散・流浪していた世界の各地から、再び祖国に帰還し始め、ついに国を再建したのです。
 しかも彼らは、二千年間「死語」であったヘブル語を復活させ、今では彼らの国語として使用し、子どもたちに教えているのです。このような驚くべきことは、世界のどこを探しても、ユダヤ民族のほかには見ることができません。
 このイスラエルの回復も、旧約聖書の予言の成就です。
 「わたし(神)は、あなたがたを諸国の民の間から連れ出し、すべての国々から集め、あなたがたの地に連れて行く(BC五八〇年頃の予言 エゼ三六・二四)
 またイザヤ書一一・一二には、
 「主は、国々のために旗を揚げ、イスラエルの散らされた者を取り集め、ユダの追い散らされた者を地の四隅(東西南北)から集められる(BC七〇〇年頃の予言)
 と予言されていました。これらの予言は、予言がなされてから何世紀もの間、成就するきざしは全くありませんでした。しかし、聖書を研究していた学者らは、何世紀も前から、
 「聖書によれば、ユダヤ人たちが祖国に帰り、国を再建する時が必ず来る」
と主張し続けていました。そして事実、二〇世紀になって、聖書の予言通りのことが起きたのです。
 しかもユダヤ人の帰還は、近年になって再び増加し始めている、とのことです。
 旧ソ連でペレストロイカ(改革)が始まった頃から、旧ソ連から流入してくるユダヤ人の数が増えている、との報道がなされています。最近ロシアでは、反ユダヤ主義者たちの活動が活発化しているために、それを逃れて祖国に帰ってくるユダヤ人が増えているのです。
 ユダヤ人たちは、長い苦難の道を歩んできました。しかし神は、彼らを決してお見捨てにならず、国をやがて回復されるという彼らへの約束を、果たされました。
 ユダヤ民族は、多くの欠点にもかかわらず、神がご自分の言葉――聖書を、世界に与えるためにお選びになった民族です。彼らに対する神の憐れみは、変わることがありません。
 彼らは、ときに神からの激しい試練を受けたり、峻厳(しゅんげん)なさばきを受けたりもしました。しかし同時に、絶大な憐れみをも受けたのです。
 他のすべての民族の歴史は、ある程度は、「歴史哲学」などの助けをかりて説明できます。しかしユダヤ民族の歴史は、神をぬきにしては語れません。
 神の特別な御手の働きを述べずに、ユダヤ民族の歴史を語ることは、できないのです。


ユダヤ民族の歴史



キリストの降誕

 また聖書には、ユダヤ民族はイエス・キリストが降誕される民族である、と予言されていました。
父祖アブラハムには、こう語られていました(BC二〇〇〇年頃)
 「アブラハムは、必ず大いなる強い国民となり、地のすべての国々は、(アブラハムの子孫=ユダヤ民族)によって祝福される(創世一八・一八)
 つまり、アブラハムの子孫であるユダヤ民族によって、最終的に「地のすべての国々が祝福される」というのです。この言葉は、アブラハムの子孫として、のちに全世界のためにお生まれになったイエス・キリストにより、究極的な成就を見ました。
 また、出エジプトの指導者モーセは、
 「あなたの神、主は、あなたのうちから、あなたの同胞の中から、私のようなひとりの預言者をあなたのために起こされる。彼に聞き従わなければならない」(申命一八・一五)
 と予言していました(BC一四〇〇年頃)
 このユダヤ人の間に現れる「私のようなひとりの預言者」とは、後述するように、じつはキリストのことです。キリストご自身、
 「モーセは、わたしについて書いたのである(ヨハ五・四六)
 と言われました。キリストは、モーセのような"解放者"としての性格を持った大預言者なのです。キリストは人としては「大預言者」であり、神の御子としては、私たちを罪と滅びから救う「救い主」です。
 さらに、BC七〇〇年頃に預言者イザヤは、救い主キリストは、イスラエルの真の「残りの者」(レムナント)として現れ(イザ一一・一) 、私たちの罪のために身代わりに死なれる、と予言しました(イザ五二・一三〜五三・一二)
 また預言者ミカは、救い主がユダヤのベツレヘム村に降誕することを予言し(ミカ五・二〜四)、預言者ダニエルは、救い主が出現する時について予言しました(ダニ九・二五、BC五五〇年頃)。これらについては、あとで詳しく見ましょう。
 預言者たちはそのほかにも、キリストの生涯にどのようなことが起こるかについて、多くのことを予言しました。そしてそれらの予言はすべて、イエス・キリストのご生涯の上に成就したのです。
 キリストのご生涯がこのように何百年も前から予言されていたのは、私たちがそのことを通して、イエス・キリストがまことに神から来られた救い主であると、信じるためです。聖書は、
 「まことに神である主は、そのはかりごとを、ご自分のしもべ、預言者たちに示さないでは、何事もなさらない(アモ三・七)
 と述べています。神が、イエス・キリストの出来事について預言者たちに予言させたことは、神ご自身のご計画にふさわしいことでした。神は聖書の中で、こうも言われています。
 「わたしは、終わりの事を初めから告げ、まだなされていない事を昔から告げ、『わたしのはかりごとは成就し、わたしの望む事をすべて成し遂げる』と言う(イザ四六・一〇)


富が集まる

 ビジネスマンなら誰でも知っているように、現在、世界の大資本の多くは、ユダヤ人の手に握られています。
 世界の三大金融センター(ロンドンのシチー、スイスの銀行街、ニューヨークのウォール街)の実権を握っているのは、ユダヤ資本ですし、セブンシスターズといわれる七つの国際石油資本も、ほぼユダヤ人のものです。また世界の穀倉と言われるアメリカの五つの食糧メジャーズの三つまでが、ユダヤ人の手にあります。
 このようにユダヤ人の手に、世界の富が集まっているのは、聖書の次の予言の成就と見ることができるでしょう。
 「あなたは多くの国々に貸すであろうが、借りることはない」(申命二八・一二)
 またイザヤ書六〇・五には、 
 「海の富はあなたのところに移され、国々の財宝はあなたのものとなる」
 と記されています。


キリスト教への改宗

 今まで見てきたように、ユダヤ民族の歴史における主な事柄はすべて、聖書の中にあらかじめ予言されていました。
 エジプトでの隷属、出エジプト、カナンへの帰還、ソロモンの広大な王国、バビロンでの七〇年にわたる捕囚、バビロンからの帰還、キリストの出現、世界への離散、そして世界各地からの帰還など、主な出来事は、すべて予言されていました。
 しかし、聖書の中に予言されていて、まだ成就していない、いや、これから成就しようとしている重要な予言が、一つあります
 ユダヤ人の多くは、現在ユダヤ教徒で、キリスト教徒ではありません。しかし聖書は、ユダヤ人が皆キリスト教に改宗する時がやがて来る、と予言しているのです。
 「ユダヤ教」は、ある意味ではキリスト教の前身で、キリスト以前から存在していたユダヤ人の宗教でした。それは、旧約聖書を教典とし、キリストの時代には、「律法学者」や、「パリサイ派」、その他のユダヤ人の指導者によって、継承されていました。
 キリストが出現された時、キリストに対するユダヤ人の反応は、大きく二つに分かれました。一方の人々はキリストを信じ、もう一方の人々――とくに律法学者やパリサイ派の多くは、キリストを受け入れることを拒否しました。
 彼らは、旧約聖書の宗教を継承していると称しながら、様々な人間的教えを付け加えて、その真の精神を見失っていました。そしてその実は、偽善の宗教家に堕していたのです。
 心の目が暗くなってしまっていた彼らは、キリストを信じることが出来ませんでした。しかも、キリストが多くの弟子をつくられたことを「ねたみ」(マタ二七・一八)、ついにキリストを十字架に追いやってしまったのです。
 こうして、キリスト教はユダヤ教から分離し、ユダヤ教は、ユダヤ人の中に残りました。そして現代でも、ユダヤ教はユダヤ人の中に息づいています。
 しかし聖書は、こうしたユダヤ人も、やがてキリスト教に改宗する時が来る、と予言しています。
 「イスラエル人の一部が、かたくなになったのは、異邦人の完成のなる時までであり、こうしてイスラエルはみな救われる(ロマ一一・二五〜二六)
 つまり、現在イスラエル人(ユダヤ人)がかたくなになり、キリストへの信仰を持とうとしないのも、ユダヤ人以外への伝道が完成する時までのことであり、やがてユダヤ人もキリスト教に改宗する時が来る、というのです。これについては、旧約聖書も、次のように予言しています。
 「その日、・・・・・・わたしは、ダビデの家とエルサレムの住民の上に、恵みと哀願の霊を注ぐ。彼らは、自分が突き刺した者、わたしを仰ぎ見、ひとり子を失って嘆くように、その者のために嘆き、初子を失って激しく泣くように、その者のために激しく泣く」(ゼカ一二・一〇)
 この「自分(ユダヤ人たち)が突き刺した者」とは、十字架上で釘と槍によって突き刺されたキリストのことです。同じ予言は、ヨハネの黙示録一・七にも、語られています。
 「見よ、彼(キリスト)が、雲に乗って来られる。すべての目、ことに彼を突き刺した者たちが、彼を見る。地上の諸族はみな、彼のゆえに嘆く」。
 すなわちキリストが再来される時、ユダヤ人たちは、その光景を仰ぎ見て、自分たちの先祖が十字架につけたキリストが実はまことの救い主であった、と知るでしょう。そして神の御前に激しく悔やみ、嘆き、哀願して、ついには、キリスト教に改宗するのです。
 このように、世界で最後の大リバイバル(信仰復興)は、ユダヤ人の間に起こるのです。
 ユダヤ人に関する聖書の予言は、今まで一つ残らず、すべて成就してきました。したがって、現在成就の時を待っているこの予言も、やが文字通り成就するに違いありません。
                                            久保有政著  

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