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■天球世界
この世界は、万物の根元とされる海の中を、“天球”に包まれて漂っています。ちょうど、水の中に漂う泡のようなものです。天球の周りには、この世界の“衛星太陽”と“月”が廻っています。太陽が天球の周りを1回公転すると、この世界の1日が経過します。
太陽と月の運行は、聖霊龍が管理しています。そのおかげで、公転軌道は交差していますが、月と太陽がぶつかる事はありません。
月は円軌道で天球を廻りますが、太陽は楕円軌道で天球を廻ります。そのせいで、この世界は多くの地域に“四季”の変化が起きます。しかし、四季の変化には精霊が強く関わっているので、すべての地域で同じ変化をするわけではありません。(地域によっては四季が逆転するところもあります)天球のなかには、“浮遊大地”と呼ばれる平面世界があります。
浮遊大地の片隅に“三大陸”があります。その中の1つ、タルト大陸にある1地方が“エクレア地方”です。浮遊大地の大きさは不明です。測るものはいませんし、おそらく測る事もできないでしょう。その原因は大陸間の交流が困難である事があげられます。
三大陸は比較的近い位置にあるので、ある程度の交流はありますが、その外はまったく未知の世界です。おそらく他の(三大陸以外の)大陸でも同じことでしょう。
また、聖霊龍が浮遊大地の端に近づかせないようにしている、とも言われています。
学者の中には天球についての研究をするものもいるようです。そのかいあって、“世界が天球に覆われていて、その周りを太陽や月が廻っている”ということまでは解っているようです。また、中には“天球が太陽の周りを廻っている”という“地動説”をとなえる者もいます。
■太陽と月
太陽この世界の太陽は、旧世界にあった太陽の1つです。旧世界はいくつもの太陽を持っていましたが、世界が崩壊したとき、それぞれの太陽も散り散りになってしまいました。その1つがこの世界のまわりを回るようになったのです。旧世界のかけらであるこの世界で、生命が生き長らえたのは、太陽があったからです。
太陽の大きさは、現実世界とは異なり、天球よりかなり小さなものです。月
月は、女神がこの地に降り立った時に現れました。女神が創ったとも、旧世界から持ってきたとも伝えられています。太陽よりやや小さいのですが、天球を回る軌道が近いので、太陽と同じくらいの大きさに見えます。
月の色は、女神エルテイアの髪と同じ青白銀。そして、この月は自ら光を放っています。そのため、月が出ているときは、昼でもその姿を見ることができます。しかし、太陽のように激しい光ではなく、淡くおぼろげな魔力のような光です。
■女神エルテイア :エルテイア信仰
旧世界より渡ってきた女神“メルフィス・エルテイア”。透き通るような青白銀の長い髪が特徴です。外見はある程度自由に変えたようですが、かならずこの青白銀の髪がからだのどこかにあります。人の姿では17〜18歳くらいの姿をしている事が多かったようです。
外見がこの地の住人と変わらないので、彼女が女神である事に気づかない者もいました。各地の伝承に“青銀の聖女”という者がいますが、龍の一族に銀を冠するものがいない事から、その者こそ女神エルテイアではないか、と考えられています。新世界の創生期に女神がどのような事を行なったかは、具体的には一切知られていません。
創生期とはいわれていても、この世界は旧世界の遺産です。すでにほとんど形ができていました。また、世界を今の景色にしたのは、ほとんど精霊たちです。「女神の手による」という明確な記録が残っているのは、六霊龍と天使達のみです。(なお、天使は女神の分身であったため、エルテイアの失踪とともに姿を消している)エルテイアは、運命神であり世界の守護神であり、同時に慈愛の神でした。そのため、エルテイアがいた時代には、特に大きな災いはありませんでした。
その起こるはずの災いの多くは、女神が自らの力で防いでいました。そして世界の創生期の後も、多くのものの災いを取り払うため、あるいは争いを収めるために、各地を巡っていました。それでも各地で起ころうとする災いに、いつも心を痛めていました。これが、後に自らを疲弊させ、やがて失踪へと繋がります。
エルテイアは“やさしすぎた女神”といわれています。
この設定は、エルテイア信仰の者が、さまざまな調査を経て明らかにしたものです。そのため、実際にエルテイアに会った古精霊達は、意外とこの設定は知りません。 エルテイアを象徴するものに、天球を廻る“月”があります。それはあの月が、エルテイアがこの世界に降り立った時に、この世界に現れたからです。また、あの月こそエルテイアが住んでいた地だ、という言い伝えも残されています。
そのため、エルテイア信仰では、月をシンボルとしています。
■異なる世界
始祖の海に漂う世界は、「エクレア地方開拓史」の舞台となる世界だけではありません。いくつもの世界が並行して存在しています。
しかし、それらは、いわゆる“異界”ではありません。それぞれの世界を隔てるのは、万物の根元たるもの。それを通り抜ける事は不可能で、それぞれの世界は独立して存在しています。互いに干渉する事もありません。
そのため、「エクレア地方開拓史」での“異界”は、すべてこの世界の天球の中にあります。
○精霊界 :精霊使い(魔道師)
“精霊がいる世界”と言われますが、実際には存在しない世界です。
この世界では、精霊は広くごく自然に存在します。精霊たちも、この世界の住人なのです。魔道師たちが、弟子などに魔法を教える時に、たとえ話として“精霊界”という言い方をします。
旧世界は大きな精霊界の1つでしたが、それを“精霊界”と呼ぶことはありません。“精霊界”は魔法の講義の時に“精霊が多くいるところ”のような意味で使われます。
○妖精界 :妖精族
妖精が住む地です。
多くの妖精は、普通に森などで生活していて、簡単に会う事ができます。なかには人間の町で生活しているものもいるくらいです。ですが、なかには他の種族との交流を嫌う妖精もいます。そういった妖精達が、他の種族を退けるために作った結界、それを“妖精界”と呼んでいます。
“妖精界”といっていますが、これは妖精たちの集落の1つです。人を嫌う妖精が、自分達の集落の周りに結界を張っているのです。
この結界の中に住む妖精は、自分達の集落の事は他人には明かさないのが普通です。人に会う事すら禁じている事もあります。
○幻獣界 :幻獣
幻獣達の住む世界です。
“夢の中にある世界”ともいわれる世界です。ここに住む幻獣が人間達と交流を持つ事は少なくありませんが、幻獣界の事を人に漏らす事は禁じられているらしく、その実体は多くの謎に包まれたままです。幻獣とは、古精霊の異なる道をたどった姿だという人もいます。
幻獣は古くからある種族で、異種族との交流も少なくありません。中には人とともに町などで暮らしている者もいます。
幻獣は、幻獣界の事を他人に漏らす事を禁じられています。
○人間界
いわゆる人の住む世界です。
めったに使われる呼び方ではありませんが、妖精たちが人間達の城や町を指してこう呼ぶ事があります。
この呼び方には「“自然とかけ離れた”人間達の世界」という皮肉の意味が込められている事が多く、人間と友好的な種族ほどこの呼び名は使いません。
○天界 :天空龍,エルテイア信仰
聖霊龍のうちの1体、空よりすべてを見守る天空龍がいる世界です。
遥か空の彼方にあるといわれていますが、それを確かめる事ができる者はいません。
天界は、かつては女神エルテイアが住んでいた地でもあります。そのため、月こそ天界ではないか、という考えもあります。
○冥界 :深淵龍,妖魔など
地の底深くにある世界です。
この世界の浮遊大地の地下(または下)にあるといわれる世界ですが、詳しい事は一切わかっていません。具体的にどの辺りかも不明です。
世界を支える深淵龍がいる地とも、日の光を避ける異形なる者の地とも、妖魔や魑魅魍魎の住む地ともいわれています。
これらの言い伝えはそれぞれの地域によってさまざまですが、“大陸の下にある”という点では一致しています。
言い伝えにある“冥界”は、正確にはそのすべてが正しいと言えます。地上に生きるものにとっては、大陸の下は未知の世界で、それに対する恐怖感を“冥界”という名で呼んでいます。ですから、浮遊大地の地表から下すべてが冥界と言っても過言ではありません。そしてその最下層には、その体躯を持ってかの地を支える深淵龍がいます。 なお、冥界は“命あるものが死を迎えたとき、新たな命となる前の安らぎの地”でもあります。
○魔界
真なる異界の地です。
ルクゥラの海を隔てて存在する他の世界、この世界とは異なる天球を、“魔界”と呼びます。唯一、この世界の天球の中にない世界です。ルクゥラの海はあらゆるものの源であり、それを通り抜ける事はできません。そのため、本来は他の天球世界が別の天球世界に干渉する事はできません。
しかし、ルクゥラの海では、複数の天球世界が集まり、融合して1つの世界になる事があります。旧世界も、そうして大きくなった世界です。
そして、複数の世界が融合する時、起こるはずのない“異世界どうしの干渉”が起きるのです。この世界の融合のとき、干渉してくる他世界を“魔界”といい、その世界に住むものを“魔族”と呼びます。これはより小さな天球世界がそう呼ばれます。
旧世界は、数多くの“異世界”を吸収した世界でした。そのため多くの“魔界”が存在していました。
しかし、今の世界は異世界の干渉を受けた事はなく、そのため“魔界”も存在しません。天球世界が干渉する時、それぞれの世界では大災害などでは表現できないほどの破壊が起こります。