ウトウの頭-酉谷山-熊倉山


今回は初日はタワ尾根つまりウトウの頭を経由して酉谷山の避難小屋に泊まり、翌日は酉谷山の北尾根を経由して熊倉山へという二本の藪尾根をやることにしました。どちらもバリエーションのコースです。ウトウの頭は、前からやりたいと思っていたところです。藪があるというので、そろそろ行っておかないと、冬までお預けになってしまいます。せっかく一泊するのだからもう一本、これも前から行きたかった熊倉山へのやぶ尾根をやっておこうという計画です。
日時 2001年4月28-29日
晋 万 めぐみさん(28日のみ)
28日(晴れ)

4:30 起床。もう明るいので驚き。久し振りに立川から入るので、黒川始発 5:23 に乗る。登戸で乗り換え、立川発 6:39 に乗る。まだ早いので登山者はまだ少ない。奥多摩行きに並ぶと、大きなリュックを置いている人がいる。その人が戻ってきた。めぐみさんだった。こんな所で会うなんて。雲取りの奥多摩小屋の所でテントを張ると言うので、ウトウの頭 - 酉谷小屋に誘った。一緒に行くことになる。奥多摩フリー切符を買ったので、明日の熊倉山へのコースは行けないという。

出発時間になると人が来て、立つ人もかなりいる。7:45 奥多摩に着くと、8:00 に東日原への臨時バスが出た。一台で丁度良い。8:20 東日原着。トイレと身支度をして 8:30 出る。大きな荷物を持っている人もかなりいる。話しをした人が小屋には 14:00 頃には着いた方が良いと言う。彼らもウトウの頭をいくと言う。

日原鍾乳洞のバス停から下って橋を渡る。橋のたもとの大きな栃の木は、花は終わって新芽が美しい。渡って右へ。すぐに一石山神社に着く 8:55。2L の水筒二本は家で水を入れて来たので、ここで 1・5L のアルミ水筒に水を入れた。酉谷の水はあてにならない。社務所の脇からから上り始める 9:00。登山道の側にはヒトリシズカが咲いている。すぐに落石避けの壁を越えて、そこから左に行けば良い道があったようだが、真っ直ぐ踏み跡を上がって行った。一応ジグザグの踏み跡を少し上がるが余りに悪いので、左の方に巻いて見ると、良い道がみつかった。

所々、古いコンクリートの階段や石段のある道。ジグザグは上手に切ってあるがものすごい急登。荷物が重いし、体がまだ馴れてないので疲れる。尾根に出たところで一休み 9:25-9:30。鍾乳洞方面の道標がある。そうきつく無い尾根をゆったり登って行くと、又少しきつくなって正面に岩山が見える。道は左に山腹を絡み急登になる。この道は割に新しく整備された道のようだ。

登りきった所に、「この先行き止まり」 の標がある。右に下りと鍾乳洞の方へ下りるみたい。9:45 行き止まりの標を越えて進む。緩やかで気持ちの良い道。9:30 一石山 1007M。山頂と言うより道の途中という感じ。登りが少し急になったところで、右からの尾根と会う。二重山陵みたいになって、地形は少し複雑である。道は緩やかに左に曲がる。この辺で 1176M。まだ木は芽が出て無くてはだか。地面は落ち葉。赤テープがかなりあって、道は間違えようが無いし、上へ上へ行けば良い。

10:40 林道 (人道) に出る。越えて正面へ入る。ここから笹が出てくる。背丈くらいの笹だが葉が無いので良く見えて明るい。道は明瞭。笹を掻き分けて登って行くと、10:45 金袋山 1325M。山名板をつけてある木の下の笹にテープがいっぱいつけてあった。こうでもしないと山名板もみすごしてしまうのだろう。少し腹が減ってきた。ウトウの頭までの半分きた。

鈴坂丸の少し手前で昼食。藪の中少し広がった所 11:10-11:45。万、暑さと重荷で食欲無し。お握りニケ。晋もお握り三ケ。神社で汲んだアルミボトル一本分の水を飲んだ。めぐみさんも少し疲れたみたいだけど、昼食で三人とも元気が出た。5分で鈴坂丸 1456M。緩く下って緩く登り、ウトウの頭の急登にかかる。馬酔木の林の急登できつい。 笹は無いのが良い。登りきって稜線の一角。平坦に少し歩き、痩せ尾根になって岩の所を下り、又上がるとウトウの頭 1588M。

念願のウトウの頭に立つ
桧の静かな山頂。鳥の絵を書いた山名板を写真に撮って少し休む。この山名板を見るのは藪屋のステータスシンボルだ。グレープフルーツを食べる。12:30-12:40。山名板の後には、藤原の定家の歌が彫ってある。下りは少し岩の出た痩せ尾根。大岩の所を左に巻いて下り立つと大京谷のくびれ 13:05。ここから急な登りから、痩せ尾根を超えて、笹藪に入り、又馬酔木の痩せ尾根に入って 1602Mのピーク 13:20。ここから酉谷の小屋が見える。

13:30 カラ滝の頭とあるが藪の中。(背より高い藪の中を進む右の写真)。何処の事やら良くわからぬ。鹿の糞が多い。鹿糞尾根と名付けよう。時々木に熊の爪砥ぎの跡がある。平坦な藪をごそごそ歩くと前方に何か看板が見え、人が見えた。そちらへ向かって道らしいところを漕いで行くと、水平道に出た 13:50。31 と 27 の林班界標のところ。やれやれやっと終わった。ほっとしたので休憩。昼の残りのお握りを食べる。

14:04出発。14:15道の右側に鹿 (雄。角が二又なので4才か?) が死んでいた。まだ臭くないが、もう少ししたら腐臭がひどかろう。水平道歩きもそろそろ疲れた頃に小屋に着く 15:00。小屋は、建築中に見たが想像したよりも小さい。7人先着していたが、2人がテントがあるからと言って開けてくれた。晋は床にマットを敷いたが、少したつと 4人着。上を少し詰めてもらって晋は上がり、4人は床になってなんとか入れる。

小屋から、今歩いて来たタワ尾根が良く見える。たいした事無かった大京谷のくびれがはっきりわかる。めぐみさんはテントを張った。今日は小屋の前の水も出ていて一安心。場所も確保したから、すぐ食事の支度。作っている最中も人が来る。その後来た人たちは、皆テントかツェルトを張った。テントは酉谷方面の少し上った所に張った人が多い。小屋の回りに張ったのはめぐみさんと他に二人。上の方に張ったのは 5〜6組と思う。

食事を作っている時に、朝、東日原で小屋は早めにと言った人達が到着した。我々と同じコースを歩いたのだが、かなり遅い。当然テントを持っていた。今夜は、ご飯を炊いておかずは豚汁。豚汁は、美味しかった。昼の残りのスペアリブと漬物も食べる。飯は美味く炊けた。めぐみさんはカレー。

食事が終わったら、すぐシュラフに潜りこんで寝る。18:00前だった。結局小屋の中には、13人寝た。満員。22:00頃トイレに行くと、星は少ししか見えない。北斗七星がなんとか見えた。明日の天気は悪いのだろうか。下に降りるまでもって欲しい。万歩計 37000歩。

29日 (雲の多い晴れ)

4:30 に目覚ましを鳴らす。十分寝たので起きる。我々が起き出すと皆いっせいに起きだした。誰かが起き出すのを待っていたみたい。湯を沸かして、Coffee を入れて、朝食はパン (ベーグル) とソーセージとチーズ。ベーグルはかっちり詰まっているので腹にしっかり入る。但し、お茶が沢山いる。めぐみさんはラーメンを食べていた。元気あるー。

酉谷避難小屋の内部
小屋に泊まった殆どの人は雲取方面に行くそうだ。結構中高年の人が多い。が、皆なれている人が多かった。5:50 出発。めぐみさんはテントを撤収中。ここで別れる。酉谷山へ向かって上がって行く。尾根に出たところで、向こう側でテントがまだ三張り有った。皆テントの撤収中。6:05 酉谷山頂。南側の木を切ってあるので広々した感じになって、景色も良くなった。残念ながら今日は曇り気味なので駄目だが、景観はかなり良かろう。

昔からある山名板も二枚残っているし、新しい道標の山名標柱があった。古い道標も残してあった。テントも 2〜3張りは張れそう。(右の写真。酉谷山山頂でこれから行く方を指す)。6:10 熊倉山へ向かう。以前は藪の中へ潜りこむような道だったが、今はきれいな山道。歩く人も増えたのだろう。谷には霧が出ているようで、木の間から雲海のように見える。北斜面は雪が所々残る

下って、1650M への登りから笹が出てくる。ここは葉がついているが、まだ 5月だから笹の元気も無い。登りつくと小黒ドッケ 1650M 6:30。奥秩父風の黒々した山頂。道は、西に張り出した尾根の南側をからみながら下り、大分下った所で尾根に出る。次のピークとの鞍部へ、背の高い笹を分けて進む。道は良くわかる。赤テープも多い。まもなく大血川峠 6:50。左に大血川への道をわける。と言うよりそちらの道の方が良いように見える。この辺東大の演習林のようだ。東大の標識がある。

6:55 右に進む。熊倉山への道をとる。この辺が一番の藪道だが、道は明瞭だ。7:10 1452m のピークは藪の中だ。ここから緩やかな下りだが、結局 100M 近くも下ったようで、次の 1451M への登りはかなりきつい。良く手入れされた桧林が右側。左は雑木林。振り向くと雑木林越しに高いのが酉谷山だ。7:35 1451M。少し休憩。この辺から笹は無くなる。

アカヤシオツツジが綺麗
7:50 次のピーク。ピンクのツツジが出てくる。アカヤシオツツジ。まだ 5分咲きくらいだが、元気があるので美しい。丁度地図で、2cm ほどの雲取山の図幅の右上隅を通る附近が、ツツジの群落。痩せ尾根で、足元が危ないからツツジに見とれないように注意。正面の大岩を右に巻いて、岩の上に出ると、景色が良いので一休み 8:05 - 8:25。時々雲が上がって、三峰から芋の木ドッケへの稜線。その向こうに、多分、和名倉・白石の稜線が見える。下に大血川と太陽寺が見えて、新緑とツツジが美しい。

痩せ尾根を少し上下しながら行くと 8:50 熊倉山。一人居た。すぐに二人上がってきた。この人達は城山コースを登ってきたそうで、ツツジが綺麗といっていたのでこのコースを下ることにする。パンを食べて少し休憩。下り始めは急降下 100M。1200M 位の所でアカヤシオツツジが満開。1000M 位の所でミツバツツジが一本だけ咲いていた。900M くらいから尾根が広がってくる。この辺から登山者に会う。皆早いねと言う。

広がった尾根は上手に切ってあるジグザグ道。上手に切ってあるとは思うが登りはかなり苦しいだろう。林道近くなった所で、200人以上の団体とすれ違う。ボロボロした道なので、小石が落ちて一寸困った。団体は嫌だ。10:25 登り口に着く。ここから舗装した林道を歩いて、白久 (しろく) 駅には 11:15着。電車は 11:42発。服を着替えて、グレープフルーツを食べる。秩父鉄道は、今日は SL が走るみたいで、線路際にはカメラマンが沢山居る。お花畑で下り、西武秩父駅に向かう。12:00 過ぎに着いた。次の飯能行きは 12:30 だ。

時間があるので、駅のそばの店で蕎麦を食べる。改札を入ると、丁度 C58 が走って行った所、久し振りに蒸気機関車を見た。ひじょうにユックリ走っていた。乗客は殆ど満員。東飯能から八高線に乗り、乗り継ぎが良く自宅には、15:00着。思ったより早く帰れた。若葉台駅に着いた頃に雨が振り出したが、家までは大丈夫だった。良かった良かった。

(感想)
前日にウトウの頭から、酉谷に行くと言われ、熊のことが心配だった。が、立川駅で、めぐみさんに偶然出会い、彼女を引きこんでしまった。タワ尾根も酉谷の北尾根もどちらも良い尾根だった。 そのうちウトウの頭も、一般コースになるだろう。久し振りに、小屋泊まりだったが、良い山行だった。
ウトウと言うのは漢字では善知鳥と書きます。広辞苑によると、
「アイヌ語で突起の意」
「チドリ目ウミスズメ科の海鳥。大きさはハトぐらい。背面は灰黒色、腹部は白色。顔には二条の白毛を垂れる。生殖時期には上嘴基部から角状突起を生ずる。北方海洋の島で繁殖し、冬期本州の海上にまで南下する。子を取られると鳴くという。」
「陸奥国外ヶ浜にいたという鳥。親が「うとう」と呼べば、子が「やすかた」と答えるという。」
などとあります。