Hiroshi Ikezawa
ikezawa@tkb.att.ne.jp
スーパーボウルウィークが始まった。前日までに現地入りしたNYジャイアンツ、ボルティモア・レイヴァンズの両チームは23日、スーパーボウルの会場となるレイモンド・ジェームズスタジアムに姿を現し、記者団の質問に答えた。
スーパーウィークの火曜日(Super Tuesday)はメディアデーと呼ばれるインタビューとフォトセッションの日。選手たちはユニフォーム姿(パッドは着けない)で全員集合し、報道陣の質問に答えなければならない。QBや人気選手は『お立ち台』に上り、報道陣に囲まれながら約1時間ほど話をすることがリーグから義務付けられている。
この日はジャイアンツが午前10時から、レイヴァンズが午後1時からそれぞれセッションを行った。
ジャイアンツでひときわメディアの注目を浴びていたのはQBケリー・コリンズだ。前日の記者会見で、自らパンサーズ時代に経験したアルコール中毒との戦いを告白したことで注目を浴びた。スーパーボウルQBという立場にいながら、過去の苦い体験を語るのは異例のこと。選手たちはこういったことで神経をすり減らしたくないからだ。レイヴァンズのブライアン・ビリックヘッドコーチがレイ・ルイスに対する殺人事件がらみの質問を事実上禁止したのとは対照的だった。
「過去の体験から僕は、人間は変われるんだということを学んだよ。どんな人でも弱みがあり、悩みを抱えているものだ。でも、いろんな体験をすることで人間は変わることができるんだ。僕がいい例だよ」とコリンズは語る。
「レイヴァンズとの戦いは大きなチャレンジになる。おそらく僕が戦ったなかで最強のディフェンスだろう。彼らはいつもいいところでターンオーバーを起こす。今週僕らが集中しているのはボールを大事にするということだ。そして、いいプレーをすれば勝機を見出せる」
比較的静かだったジャイアンツとは対照的に、レイヴァンズのインタビューセッションは賑やかだった。特にDTトニー・シラグーサのまわりは爆笑の渦だった。曰く「本当はホームチームとして紫のジャージが着たかったんだ。白じゃ太って見えるだろう?」「最初にシャノン・シャープを見たときには馬かと思ったよ。そのうち、歯が見えて初めて人間だとわかった」などなど。質問に退屈すると、日本からきていた報道陣に向かって「どこから来たんだ?アジアだろう、それくらいわかるんだ」とちょっかいを出してみたり。とにかく賑やかだった。
最も人だかりがしていたのはやはりレイ・ルイスだ。地元メディアがこぞって昨年の殺人事件を蒸し返したからだ。被害者の家族のコメントを掲載した新聞もいくつかあった。いくら前日にビリックが報道管制を引いたところで、質問が事件に集中するのは避けられなかった。ルイスは「もう終わったこと」と繰り返し述べるにとどまったが、機嫌を損ねたのは明らか。代わりに自分自身の家族の話題になると人が変わったようににこやかになるのだった。
スーパーボウルウィークは記者とのインタビューが繰り返し行われるので、選手にストレスがたまりやすい。しかし、第30回大会にスティーラーズでこの大舞台を一度経験しているロッド・ウッドソンは落ち着いていた。
「前回のスーパーボウルはケガをしていたから今回の出場はことさらうれしい。スーパーに勝ったら引退するかって?まさか!まだまだ体力的には十分にプレーできるし、あと数年は現役でいるつもりだ。自分のキャリアにタイムテーブルなんて設定したことがない」
史上最強とまで言われるレイヴァンズのディフェンスはスティーラーズのディフェンスとどう違うのか。
「スティーラーズ時代にもいいLBがいた。今のレイヴァンズがいいのはフロントフォーのおかげだと思う。このチームは34試合連続で100ヤードラッシャーを出していないだろう。スティーラーズのディフェンスはここまでではなかった。フロントフォーがコンスタントにランを止め、QBにプレッシャーかけられる点がスティーラーズとは違うところかな」
ルイスがマスコミ攻勢に遭わないように常に彼のそばに付き添っているウッドソン。彼のリーダーシップがディフェンス全体に及ぼす影響は計り知れない。
月曜日にホテルにチェックインするときのこと。筆者の次にチェックインした人の名前に聞き覚えが。あれっと思って振りかえるとケヴィン・グリーン。現役時代よりもちょっと痩せたかなという感じ。性格の悪さはよく知っているので、声はかけなかった。
スーパーボウル史上、1試合で最もサックを浴びたQBは誰?
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