このソフトウエアが何を行うかについて説明します。
それにはまず、moraで配信されている楽曲ファイルから説明します。
1.以前のmoraのファイル
moraは、以前はATRAC形式で、DRMのかかったファイルでしたが、2012年の10月から、AAC形式(ファイルの拡張子はmp4)のDRMのないファイルでの配信となりました。これにより、moraで購入したmp4ファイルを、x-アプリを使用せずに、エクスプローラでウォークマンにドラッグ&ドロップで転送できるようになりました。
moraで購入したmp4ファイルは、当初、下図のTのような情報を持っていました。楽曲に関する情報(曲名やアーティスト名など)が、3つも書き込まれていました。(図はmp4ファイルの内部情報を示したものです)
T.以前のmoraのmp4ファイルに書き込まれていた楽曲情報。
私が使用しているウォークマンNW-A860シリーズは、図の@の情報を画面に表示していました。@にはジャケット写真の情報もあるので、ジャケット写真も表示されていました。ウォークマンに関しては、何も問題は無かったのです。
しかし、Tのファイルには別の問題がありました。それは、@の情報があると、iPhone/iPodで曲が再生できないというものです。原因はiOSの不具合らしいです。それを回避するために、「モーラその後に」というソフトウエアが公開されました。Tのファイルを「モーラその後に」で処理することで、ファイルをiPhone/iPodで再生できるようになったのです。
2.新しいmoraのファイル
しかし、moraを運営しているレーベルゲートも、moraで購入したファイルが、そのままではiPhone/iPodで再生できないのは問題だと考えたのでしょう。いつの頃からか、下図のUのような情報を持つファイルを配信するようになりました。
U.新しいmoraのmp4ファイルに書き込まれている楽曲情報。
TとUの違いは、iPhone/iPodで問題となる@の情報が取り除かれたことです。これにより、iPhone/iPodでの問題が無くなり、それらを使っている人は幸せになりました。
しかし、ウォークマンで問題が出るようになりました。ウォークマン(A860シリーズのみ検証済み)は、
という動作になっているようなのです。新しいmoraのファイルは、上の2に相当するので、ウォークマンはAの情報を表示します。しかし、Aにはジャケット写真の情報がありません。その結果、ウォークマンでジャケット写真が表示されなくなってしまったのです。
.3.x-アプリを使ってファイルをウォークマンに転送した場合は
x-アプリを使ってファイルをウォークマンに転送した場合は、何をしているのか不明ですが、「なんか、ええように」処理しているみたいで、Uのファイルでもジャケット写真が表示されます。
しかし、私はx-アプリを使用せずに、ウォークマンにファイルを転送したいのです。
4.moraMP4fix for NW-A860は何をしているか
そこで、Uのファイルから、Aの情報を取り除くソフトウエアを作成しました。(@があれば、それもついでに取り除きます)
それがmoraMP4fix
for NW-A860です。
Aを(@も)取り除いたファイルは、下図のVのようになります。
V.moraMP4fix for NW-A860で処理したmp4ファイルの楽曲情報
Vのファイルは、@もAもなくてBがあるファイルなので、ウォークマンはBの情報を表示します。Bにはジャケット写真の情報もあるので、ジャケット写真も表示されます。
めでたし、めでたし。
実は、iTunesで購入したAACファイル(拡張子はm4a)は、@もAもなくてBがあるファイルで、そのm4aファイルをそのままウォークマンにドラッグ&ドロップで転送すれば、ウォークマンで問題なく再生されます。ジャケット写真も表示されます。ただし、iTunesで購入したファイルでも、DRMのかかったファイル(拡張子はm4p)はだめです。しかし、最近は多くの場合DRMなしのm4aで配信されているようです。
5.その他の効果
moraで購入したmp4ファイルに書き込まれている楽曲情報(タグ)を、変更したい場合があります。タグの変更は、例えば「Mp3tag」のようなソフトウエアを使いますが、Mp3tagの場合ですとBの情報しか書き換えません。
ウォークマンはAの情報があれば、それを表示してしまうので、Bだけ書き換えてもだめなのです。
moraMP4fix for NW-A860を使って、Bの情報だけにしてしまえば、Mp3tagで変更した情報が表示されるようになり、幸せになれるという効果もあります。