気体分子運動のシミュレーション(圧力の生じる理由)

解説と操作法

 シリンダー内にピストンで封じ込められた気体は,ピストンを押し返そうとします。その圧力は気体の温度が高いほど,気体の量が多いほど大きくなります。一方,ピストンを引いて気体の体積を大きくすると気体の圧力は逆に小さくなります。このような関係は気体の分子運動によって説明できます。
 このアプレットは,気体の分子運動をかなり単純にしたかたちでシミュレートし,ピストンに気体分子が衝突することによって圧力が生じるようすを再現します。スクロールバーを動かして,絶対温度T,ピストンが気体に加える圧力P,分子の数Nを変え,体積Vがどのように変化するかを調べてみましょう。

 このシミュレーションでは,分子の運動は平面内に限定し,分子の速さはすべて同じで絶対温度の平方根に比例するとしています。また分子同士の衝突は考慮していません。ピストンの運動は,単位時間内に衝突した全分子のピストンに加える力積の和を計算し,その大きさに比例した変位を与えると同時に,ピストンが気体に加える圧力の大きさに比例した逆向きの変位を与えて計算しています。ピストンはこの二つの変位がつり合う位置で平衡状態になりますが,これは気体によって生じる圧力とピストンが気体に加える圧力のつり合う位置でもあります。ほぼPV=NTになるようにパラメーターを調整してありますが,計算において気体の状態方程式は使用していません。
(実際の分子の運動は3次元空間内でお互いに衝突を起こすので,もっと複雑であり,速さも一様ではありません。)


作成者:加藤徳善

作成ノート

 分子の動きが分子数にあまり影響を受けないように工夫してあります。(1997.7.29)



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